...このやむを得ない人間の運命をしみじみと感じて深い悒鬱(ゆううつ)に襲われる...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...どこか病質にさえ見えた悒鬱(ゆううつ)な少年時代の君の面影はどこにあるのだろう...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...勃凸は珍らしく悒鬱(いふうつ)になつてゐた...
有島武郎 「骨」
...私の妙に陰惨な悒鬱の感情は...
飯田蛇笏 「薄暮の貌」
...宇宙旅行の冒険ということよりもむしろ向う十五ヶ年の空費についての悒鬱であった...
海野十三 「宇宙尖兵」
...手狭な悒鬱(うっとう)しい彼の六畳の書斎にはとてもそぐわない雰囲気(ふんいき)であった...
徳田秋声 「仮装人物」
...」庸三は悒鬱(じじむさ)い自分の恋愛とは違って...
徳田秋声 「仮装人物」
...止め度もない悒鬱と不安の吹雪が...
牧野信一 「鬼の門」
...この隣りの男は弁護士になる準備で夢中なんだつて!」「どうして学校へ来なかつたの?」「あれこれと先々のことを考へるとすつかり悒鬱になつてしまつてね...
牧野信一 「奇友往来」
...併し此の松林の中の家は依然として暗悒な姿をしてゐた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...わたしはこんな悒せき心持を風流とか云ふものでなく...
室生犀星 「故郷を辞す」
...悒々(ゆうゆう)しているのは...
室生犀星 「童子」
...おれはへんに悒々し出してしまってしまいにへんになるかも知れない...
室生犀星 「童子」
...しめれる土の上に悒(いぶ)せきかげの時うつりゆくごとに西へ震へて過ぎる...
室生犀星 「忘春詩集」
...さういふ景色のなかで貝のやうな爪を切る寂しい音がつづく爪は心に重みのあるときや悒悒(くさくさ)したときによく伸びるといふその爪を女が椽側でひつそり切つてゐるのだ...
室生犀星 「忘春詩集」
...はながさいてゐる目をつむつてぼくは見てゐるはなびらは色(いろ)をうしなひあを白くうなだれて……はななれば はなのやうになぜ笑はないのだらうはながさいてゐる目をそつとつむるといつでも黙つてさいてゐる背中をむけて 向ふを向いて悒鬱な花よ 匂ひのない――花ならば 花のやうに……...
森川義信 「悒鬱な花」
...〔無題〕悒欝の日がつづく...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...鬱悒(うついふ)の至りなり...
吉川英治 「平の将門」
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