...三六底のない悒鬱(ゆううつ)がともするとはげしく葉子を襲うようになった...
有島武郎 「或る女」
...それだから人間として誰か悒鬱(ゆううつ)な眉(まゆ)をひそめない人があろう...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...事件を解決するたびに経験するあの苦(に)が酸(ず)っぱい悒鬱(ゆううつ)が...
海野十三 「爬虫館事件」
...女探偵(おんなたんてい)の悒鬱(ゆううつ)「離魂(りこん)の妻(つま)」事件で...
海野十三 「什器破壊業事件」
...悒欝(ゆううつ)ではない...
海野十三 「人造人間殺害事件」
...こは悒(いぶせ)きこと無きを...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...梅雨(つゆ)のころの田舎(いなか)は悒欝(うっとう)しくって...
近松秋江 「狂乱」
...手狭な悒鬱(うっとう)しい彼の六畳の書斎にはとてもそぐわない雰囲気(ふんいき)であった...
徳田秋声 「仮装人物」
...悒鬱(ゆううつ)な四月(うづき)空...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...暗い小道の落葉を踏みながら悒々(ゆうゆう)と歩いているうちに...
久生十蘭 「湖畔」
...常に悒然(いうぜん)たる面持で佇んでいる...
久生十蘭 「魔都」
...“I chatter, Chatter, as I flow……”私は窓下の流れの音に耳を傾けながら、悒鬱だつた...
牧野信一 「剥製」
...またいわく尾ある猴は月減ずる時甚だ欝悒(うつゆう)し新月を望んで喜び躍りこれを拝むと...
南方熊楠 「十二支考」
...併し此の松林の中の家は依然として暗悒な姿をしてゐた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...かれらしい病的な悒としい気分になるらしかった...
室生犀星 「童子」
...――笏梧朗はなにか考え込んでいたがふと悒々(ゆうゆう)した目をあげた...
室生犀星 「後の日の童子」
...さういふ景色のなかで貝のやうな爪を切る寂しい音がつづく爪は心に重みのあるときや悒悒(くさくさ)したときによく伸びるといふその爪を女が椽側でひつそり切つてゐるのだ...
室生犀星 「忘春詩集」
...又黒吉を悒欝(ゆううつ)の底に押戻した...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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