...恰度(ちやうど)予も同じ決心をしてゐた時だから...
石川啄木 「悲しき思出」
...さらでだに元気の無い、色沢(いろつや)の悪い顔を、土埃(ほこり)と汗に汚なくして、小い竹行李二箇(ふたつ)を前後(まへうしろ)に肩に掛け、紺絣(こんがすり)の単衣(ひとへ)の裾を高々と端折り、重い物でも曳擦る様な足調(あしどり)で、松太郎が初めて南の方からこの村に入つたのは、雲一つ無い暑熱(あつさ)盛りの、恰度八月の十日、赤い赤い日が徐々(そろそろ)西の山に辷りかけた頃であつた...
石川啄木 「赤痢」
...恰度(ちやうど)春挙(しゆんきよ)さんの海浜に童子の居る絵の出たころです...
上村松園 「旧い記憶を辿つて」
...恰度二人がその部屋に入った時...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鉄の処女」
...その肉塊は恰度活動のフィルムのようなもんで...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「むかでの跫音」
...尚、機関車が下り一番線を通ったのは、恰度その時、下り本線に貨物列車が停車していたためです...
大阪圭吉 「気狂い機関車」
...恰度三十の歳の三月に...
大阪圭吉 「三の字旅行会」
...それは恰度三年前の...
大阪圭吉 「とむらい機関車」
...恰度(ちょうど)イプセンのノラが...
大阪圭吉 「花束の虫」
...恰度墓参に入っていた人々が一団になってぞろぞろ出て来るのに出っくわした...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「碧眼」
...恰度、夜の橋の上から両岸の火影が水に映つてゐるのを眺めてゐるやうな気持だつた...
原民喜 「潮干狩」
...「恰度潮時はいいだらうな」と云ふ父の声が遠くでぼんやり聞えた...
原民喜 「潮干狩」
...まるい月は恰度俺達の頭上にあつた...
牧野信一 「木枯の吹くころ」
...しかし私は松林を脱けて白い砂原が一望の下に見渡せる砂丘の上に来た時に、恰度私の眼下で、それはもう実に壮烈な運動――跳んだり駆けたり、もんどりを打つたり――の最中であるパンツ一つの人影を見出すと、何故か見てはならぬものを見てしまつたやうに愕然として砂に突ツ伏してしまつた...
牧野信一 「サロメと体操」
...恰度竹越三又氏が人民新聞(東京新聞の改題)をやることになつたから入らぬかと云ふ...
三島霜川 「自傳」
...恰度店の前で遊んでゐたお河童の女の子の横面に飛んで行つた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...恰度、ななえが一萬圓札をさつと男の手に渡すときの切れの好い愉しさを、たぐり寄せると同樣の類似であつた...
室生犀星 「渚」
...それは恰度、ゆうべの悪夢の復習のように、そっくりであった...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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