...恰度(ちやうど)...
有島武郎 「私有農場から共産農団へ」
...恰度秒針が一囘轉する程の間...
石川啄木 「歌のいろ/\」
...此處は恰度曠野の中央(まんなか)で...
石川啄木 「散文詩」
...恰度お八重一人ゐた所であつたが...
石川啄木 「天鵞絨」
...恰度私の番が濟んだ時だつた...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...恰度そこに立っていました私を見つけますと...
大阪圭吉 「死の快走船」
...恰度、真面目な職人が工場(こうば)へ帰って来ると、いきなり道具を握って余念もなく仕事をはじめると同じように、彼女は機械的に髪の恰好をなおし、貧しい着物の襟をかき合せると、以前にし慣れた調子で街を歩きはじめた...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「碧眼」
...恰度(ちょうど)その時雲の霽間(はれま)にその全貌(ぜんぼう)を現わした焼岳の姿と色彩とであった...
寺田寅彦 「雨の上高地」
...ことに依ると焼け死にはせぬかと、警察署の命令で、未だ鎮火(しめ)りも切らぬ灰燼(はい)を掻(か)いて行くと、恰度、六畳の居間と勝手の境目に当る所に、俯向(うつむ)けに成った、女の身体が半焦げに焼けて出て来た...
羽志主水 「越後獅子」
...姉の唇もとが動きだすのを僕は恰度お前の唇もとが動きだすのを待つやうな気持で待つてゐた...
原民喜 「魔のひととき」
...夫々所持してゐたバースデイ・ブツクにサインを交したのは恰度あの頃であつたが...
牧野信一 「熱海線私語」
...恰度その真上の空に一羽の鳶が諧調的な叫びをあげながら大きな円を描いてゐたのを憶ひ出す...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...其処から恰度泉水を越へて真向にあたる遥かの部屋が...
牧野信一 「南風譜」
...恰度出掛けのテル子と伴れになつた...
牧野信一 「日本橋」
...恰度昨年の六月村で書いた「山彦の街」の続篇を書くべく用意したのでありましたが...
牧野信一 「附「歌へる日まで」」
...恰度わたしどもが小説を書きはじめようとしたころ...
牧野信一 「浪曼的月評」
...恰度、私自身もひそかに小説を毎日稽古をするように、三、四枚あて書いている時だったので、芥川と雑誌記者の押問答に、芥川という作家がどんなに雑誌にたいせつな人であるかを、眼のまえにながめたのである...
室生犀星 「芥川の原稿」
...恰度(ちょうど)レンズを透かして見た時のように...
蘭郁二郎 「古傷」
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