...其時は、恰度、空を行く雲が、明るい頭脳(あたま)の中へサツと暗い影を落した様で、目の前の人の顔も、原稿紙も、何となしに煤(くす)んで、曇つて見える...
石川啄木 「菊池君」
...此處は恰度曠野の中央(まんなか)で...
石川啄木 「散文詩」
...と、恰度此時、女乞食の周匝(めぐり)に立つて居た児供(こども)の一人が、頓狂な声を張上げて叫んだ...
石川啄木 「葬列」
...恰度自分の机の置いた邊と思はれるところへ...
石川啄木 「葬列」
...恰度夕餉(ゆふげ)の済んだところ...
石川啄木 「鳥影」
...恰度野村の前にある赤インキの大きな汚染(しみ)が...
石川啄木 「病院の窓」
...恰度やつれた母の顏の樣ぢやないか...
石川啄木 「漂泊」
...恰度美しい夕暮時で...
大阪圭吉 「闖入者」
...十數年間の東京生活が恰度外國の遊戲にある Who,When,Where,What のやうに思ひ出される...
竹久夢二 「砂がき」
...恰度、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋沒するやうに...
中島敦 「山月記」
...恰度(ちょうど)僕が二級の時に工部大学と外国語学校が予備門へ合併したので...
「落第」
...私の腰掛けた場所の右手の恰度眼の位置に丸く切り抜かれた小窓が有りまして...
西尾正 「陳情書」
...恰度酒を飲みはじめた十何年か前のころ...
牧野信一 「城ヶ島の春」
...人の気合ひもない寂しい川のほとりや、森の蔭などをわたしはひとりで歩かうとしながら、いつも途中で、それに堪えられなくつて引き返してしまふ意久地なさと、そして風物自然の美しさを見損なつた夢をふつふつと嘆いてゐるわれながらの至らざるおもひと、恰度同じように、その作の不思議なる美しさやおもしろさを見損なつたのである...
牧野信一 「痩身記」
...恰度隱岐の眼上に組んで...
牧野信一 「痴日」
...靴と……」「恰度(ちょうど)いい...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...由っちゃん、お久しぶり……せいぜいその不具の化物を可愛がってやってくださいね、あたしもね、退屈だから、一寸揶揄(からか)ってやろうと思って来たんだけど、先約があっちゃねエ……ごゆっくり――さよなら――」「あ、葉ちゃん!」ぱっ、と由子を離した黒吉は、何か(しまった――)と思いながら、必死になって、「葉ちゃん、葉ちゃん、誤解しないでおくれよ、何んでもないんだよ、恰度、恰度いま由っちゃんが遊びに来たんで、その、その葉ちゃんとこへ行ってみようか、っていっていたんだよ……それだけだよ……」「もう沢山、来てくれなくて結構よ、わざわざあたしを呼んでおいて、二人で見せつけようなんて、……ふん、黒吉さんも相当なもんなら、女、女もそうだよ……黒ちゃん、あんたこそ誤解しないで頂戴よ、あたしはあんたが、大キライなんだからね……あたしのところに来て下さる相談なら、まさか抱き合ってまでいう話でもなかろうからねエ――」心持ち蒼白になって、険の浮いた葉子の顔は、ゾッとするほど凄く美しかった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...恰度(ちょうど)その方向が...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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