...――恰(あたか)も此時、恰も此時、玄関で人の声がした...
石川啄木 「雲は天才である」
...4.彼女は最初の瞬間からカルルに對しても其の他の一座に對しても恰も古い知己であるのみか...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...恰もこの歴史的運動――それは歴史的部分としての個人の歴史的運動である――が運動であるためには...
戸坂潤 「イデオロギーの論理学」
...そしてこのことは恰もヘーゲルその人から始まった(自然の弁証法が他の存在の弁証法と組織的な連関に立つということ...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...恰もそこにあったのである...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...教化は恰もここに入口を発見するのを普通とするのである...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...文学者は恰もこうした道徳的常識をこそ常識と呼ぶのであり...
戸坂潤 「思想としての文学」
...故に恰も自然科学者が自然の歴史を博物学的に研究するように...
戸坂潤 「辞典」
...恰も支那の聖人と謂はれる人々と同じ意義に於て之を作者と稱したのである...
内藤湖南 「聖徳太子」
...「壇」の構造が、かくして芸術的ブローカーを中心とする未組織的集合であるとするならば、それは恰も、手工業者が、販売的ブローカーに対する如き関係を構成するに至る...
中井正一 「「壇」の解体」
...一方より見れば今日女権の拡張は恰も社会の秩序を紊乱(びんらん)するものにして遽(にわか)に賛成するを得ずとて...
福沢諭吉 「女大学評論」
...恰も外國交際の新なる時に際して...
福沢諭吉 「帝室論」
...恰も猫が自分の尾を弄ぶ様に...
牧野信一 「喜劇考」
...恰も瞑目を保つてゐるかのやうな激しく小刻みな眼ばたきをつづけてゐるのであつた...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...――そのとき諸範疇は恰も自己自身の含む矛盾によつてそれ自身だけで發展するかのやうに現はれる...
三木清 「歴史哲學」
...恰も五分たつたので自分は最後の一句を冗談にして立上らうとした...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...それは恰もS城の市民の鬱屈してゐた反抗心に...
横光利一 「静かなる羅列」
...恰も其の月の夜の山や川の魂でゝもあるかの樣に私にとつては生れて初めて耳にするこの不思議な鳥は澄んで寂しく聞えてゐたのであつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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