...急がずして余力を存し...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...濠端(ほりばた)の柳の下を急がず騒がずひいて行く老車夫の車が...
高浜虚子 「丸の内」
...急がず休まず一鍬一鍬土を耕し...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...わたくしも亦窓の明るさ暖さに心急がず此の文を草し終るであらう...
永井壮吉 「冬日の窓」
...私は妹のその大事な體(からだ)をいたはるために歸京(ききやう)の旅路を急がずに...
「處女作の思ひ出」
...では白熱時代の貞奴は?わたしは急がずに書いてゆこう...
長谷川時雨 「マダム貞奴」
...ただ取り次いでいただけばいいのです」ストキはやっぱりまじめに、急がず、何か相談でもしてるような調子で話した...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...駅二つ裾野の汽車は越えつれど山の蛍は飛ぶを急がず妙高山腹の赤倉温泉での作...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...陸王は海を汲むに決して急がず...
南方熊楠 「十二支考」
...結局神社合祀は、内、人民を堕落せしめ、外、他国人の指嘲を招く所以(ゆえん)なれば、このこといまだ全国に普及せざる今日、断然その中止を命じ、合祀励行で止むを得ず合祀せし諸社の跡地完全に残存するものは、事情審査の上人民の懇望あらばこれが復旧を許可し、今後新たに神社を建てんとするものあらば、容易に許可せず、十二分の注意を加うることとし、さてまことに神道興隆を謀られなんには、今日自身の給料のために多年奉祀し、衣食し来たれる神社の撲滅を謳歌欣喜するごとき弱志反覆の俗神職らに一任せず、漸をもってその人を撰み、任じ、永久の年月を寛仮し規定して、急がず、しかも怠たらしめず、五千円なり一万円なり、十万、二十万円なり、その地その民に、応分に塵より積んで山ほどの基本財産を積ましめ、徐々に神職の俸給を増し、一社たりとも古社を多く存立せしめ、口先で愛国心を唱うるを止めて、アウギュスト・コムトが望みしごとく、神職が世間一切の相談役という大任に当たり、国福を増進し、聖化を賛翼し奉ることに尽力瘁(きょくすい)するよう御示導あらんことを為政当局に望むなり...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...一二)しっかりと坐って腹に力があって頭がすっきりとしてさあ来いと云う気持になった時に急がずに書く...
山本周五郎 「青べか日記」
...まあそう急がずと考えて見さっしゃれ...
夢野久作 「斬られたさに」
...そう急がずにお待ち下さい...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...彼は直ぐその少女の後を急がずに追つていつた...
横光利一 「悲しみの代價」
...里へ行けば駕があるから急がずに歩きましょうよ」お延は努めて新九郎の機嫌をとっていたが...
吉川英治 「剣難女難」
...風雲にのぞんでも功を急がず...
吉川英治 「三国志」
...――いや旅支度など急がずともよい...
吉川英治 「私本太平記」
...さほど急がずに汽車に間に合うつもりであった...
和辻哲郎 「停車場で感じたこと」
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