...思いがけずも灰色の瓦の破片が其処此処(そこここ)にころがっているのを見た...
伊波普猷 「土塊石片録」
...思いがけず涙が浮んで来た...
梅崎春生 「風宴」
...在来大雪山に登るものは往復四日を費したるに、余はその二倍の日数を費したりしかば、思いがけずも、『北海タイムス』に、行方不明となれりと伝えられたり...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...」という、なんとも意味の知れない、不思議すぎて、ばからしい言葉が、全く思いがけず、ひょいと口をついて出たのである...
太宰治 「春の盗賊」
...「実は今日(こんにち)は川島家の御名代(ごみょうだい)でまかりいでましたので」思いがけずといわんがごとく...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...思いがけず混浴である...
外村繁 「澪標」
...源平屋島の戦いに、御座船(ござぶね)をはじめ、兵船もその他も海に沈みはてたとき、やんごとなき御女性に仕えていた蝴蝶という若い女も、一たん海の底に沈んだが、思いがけず、なぎさに打上げられた...
長谷川時雨 「田沢稲船」
...浄海 これは思いがけずの下向...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...思いがけず道綱が殿の久しく絶えていた御消息を私のところに持って来た...
堀辰雄 「ほととぎす」
...お竜ちゃんとこうやって思いがけず仲直りのできたのが...
堀辰雄 「幼年時代」
...思いがけずある大胆な即興の意匠で...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...貧しいそいで居て働く事のきらいな眠った様なその村の単調な生活に少しあきて来かかった十日目の夜思いがけず東京から妹が悪いと云う電報を得た...
宮本百合子 「悲しめる心」
...思いがけずてっちゃんがやって来てね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...思いがけず助けてくれることが出来るひとがあって...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...思いがけず病気で死ぬとすれば盲腸からの腹膜だと思っていた...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...八月三十一日〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 吉田博筆「剣山」の絵はがき)〕三十一日本郷の方へ出掛ける人に頼んで思いがけず『結核』がみつけられました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...「思いがけず奥様が初瀬(はせ)のお寺でお逢いになりまして...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...母の話が出たので紀久子は思いがけずそれに気付いた...
矢田津世子 「父」
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