...石川は怕(こわ)くてしかたがなかったが...
田中貢太郎 「唖娘」
...枯木夢のなかで怕い老婆は私を背に負つたまゝ真黒な野をつ走つた...
原民喜 「ある時刻」
...……彼女はまたあの晩の怕い順一の顔つきを想ひ浮かべてゐた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...頻りに怕いやうな声をあげてゐた...
原民喜 「小さな村」
...すると隣りの部屋には夜半によく夢をみて怒鳴る怕い小父さんがゐるらしいのだが...
原民喜 「父が生んだ赤ん坊」
...怕(おそろ)しい怕しいことに出喰(でく)わした後の...
原民喜 「鎮魂歌」
...わたしではない顔のわたしがそんなにもう怕くはなかつた...
原民喜 「火の唇」
...おゝ怕いお方と笑つて居るに...
樋口一葉 「にごりえ」
...そんな処へ帰るに当るものか少(ちつ)とも怕(おつ)かない事は無いから私(わたし)が家(うち)に居なさい...
樋口一葉 「わかれ道」
...四季押とほし油びかりする目くら縞の筒袖を振つて火の玉の様な子だと町内に怕(こわ)がられる乱暴も慰むる人なき胸ぐるしさの余り...
樋口一葉 「わかれ道」
...急に何だか可怕(おっかなく)なって来た...
二葉亭四迷 「平凡」
...怕(おそ)ろしく寒くなる...
二葉亭四迷 「平凡」
...墜落の為にそれが破損することを何よりも怕れ...
牧野信一 「山峡の凧」
...もう細い活字のレクラム本やら理窟ツぽい本で語学を学ばうといふ努力も失せてゐるのが怕しくなつて...
牧野信一 「早春のひところ」
...怕い声も反つて頼もしく...
牧野信一 「円卓子での話」
...どうやら私の不気嫌さうな面持に怕れをなして敬遠したものか...
牧野信一 「老猾抄」
...非常に怕(おそ)ろしい物を見たように...
山本周五郎 「めおと蝶」
...それのみを怕(おそ)れとします...
吉川英治 「三国志」
便利!手書き漢字入力検索