...甘い憂鬱と微笑する懷疑とに包まれたその享樂主義(エピキユリヤニズム)も、限りなき漂泊の傾向も、利害の打算から來ると云ふよりも寧ろ本能的な羞恥と他人に煩はされざる自恣の欲求とから來る自己隱閉のこゝろも、それにも拘らず常に自己解剖の要求に促されて始終「俺」の事を語らずにゐられなかつた――俺の事を語りながらその過敏な自意識を嗤つて「忘我」の心を求めずにゐられなかつた――その矛盾も、自分を樣々の姿に變へてみなければ窮屈を感じたらしいその轉身の要求も、自分の憂鬱を底に包んで、快活な、機知(エスプリ)に富んだ、何氣のない社交的人物となり得たその二重性格も――此等一切の性質が俺の中にその反響を見出した...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...彼の快活な精神には手を触れなかった...
石川欣一 「山を思う」
...あなたが最初からそんな奴になんか会はずにずつともつと自由な道を歩いてゐらしたら屹度本当に立派な快活な人なつゝこいいゝ方におなりになつたらうと思ひます...
伊藤野枝 「九州より」
...月野博士は快活な調子で...
江見水蔭 「月世界跋渉記」
...街上では(寒気が厳しかったので)人々は各自の住家(すまい)の前の舗石の上や、屋根の上から雪をこそげ落しながら、暴々しい、しかし快活な、気持ちの悪くない一種の音楽を奏していた...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...曉に目をさました私は床の中で照のありし日の快活な樣子を思ひ浮べてなつかしんで居りますと『母さん今の感じを今度の婦人會でお話しなさい』とはつきりと命ぜられました...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...「……彼はその尻(しり)をらっぱとしていた……」この強健で活発快活な小さな男は...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...静子さんよりあなたの方がずっと快活なのに……...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...コゼットはごく快活な子になった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...怖ろしくとも快活な水流の方が...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...日頃快活な男が今晩に限ってこんなに不機嫌なのは...
野村胡堂 「女記者の役割」
...非常な快活な奴で...
二葉亭四迷 「予が半生の懺悔」
...詩人の飲料(シャンパン酒)の泡のなかでぶくぶくいっている快活なたましいほど...
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン Ernst Theodor Amadeus Hoffmann 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...快活な声でやぶりました...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...快活な五六人の男の子が...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...誰へも平等に快活な会話を撒(ま)いていたが...
吉川英治 「梅※[#「風にょう+思」、第4水準2-92-36]の杖」
...この快活な赤ン坊を見てゐると...
若杉鳥子 「烈日」
...バアルは美しい快活な少女を捕えてむだ話をしていたが...
和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
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