...その日も快く御承知になつて...
芥川龍之介 「地獄變」
...葉子は呼吸がだんだん苦しくなって行くのをこの狂乱の中にも意識して快く思った...
有島武郎 「或る女」
...快く彼の全身をもみ...
海野十三 「奇賊は支払う」
...人々をイーグル・ハウスの温い毛布の下に快くもぐり込ませた...
オウ・ヘンリ 三宅幾三郎訳 「水車のある教會」
...私は快く承諾した...
辰野隆 「二人のセルヴィヤ人」
...少し肌寒くなるのを快く感じてから...
豊島与志雄 「人の国」
...それでも快くお君の暇乞いを承知しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...かえって、快く、むしろ弁信にも渡りをつけて置いてみたいような気持で、「父は第一に、有野の藤原の家のあとをどうするかということを、わたしに責めました、あの家の血統といっては現在わたし一人、そのわたしが、こんなような人間ですから、家の存続ということが、父の死後までの関心第一である限り、その相談――ではない、詰責(きっせき)なのです、その唯一の血筋でありながら、家をも親をも顧みない私というものを責めるのは、責めるのが本来で、責めらるるが当然です、けれども、責められたからとて、叱られたからとて、今更どうにもなる私ではないということを、父も知っている、わたしも知っている、そこで第二段の条件になりました」「と申しますると?」「つまり、血統唯一の本筋である私というものが、家督の権利を抛棄(ほうき)する以上は、他から養子をしても異存はあるまいな、ということでありました」「それも道理でございます」「無論、わたくしに異存のありようはずはございません、宜(よろ)しきようにと、あっさり返事を致しました、そうしますると、では、その養子に就いてお前に何か希望条件があるかと、父がたずねましたから、いいえ、希望などは更にござりませぬ、そんなのがあるくらいなら、疾(と)うに私から推薦を致すなり、私自身が引きついでしまうなり致します、左様なことには一切白紙でございます、と父に向って申しました」「それは、理非はとにかくに、あなた様らしい御返事でございました」「しますとね、父が、よろしい、では、こちらのめがねで、しかるべき人を見立て、それに藤原家一切を引渡してしまっても、後日に至ってお前の文句はあるまいなと、駄目を押しますものですから、ええ、文句や未練などがあるべきはずのものではない、お父様のおめがねに叶(かな)った人がありますならば、御存分になさいませ、私はそれを喜んでお祝い申して上げますと申し上げました」「なるほど、それも、まったくあなた様らしいお気持であり、あなた様らしい御返事でございます」「その次に、財産の話が出ました、父が、念のために藤原家の現在の財産――土地家屋から、金銀宝物に至るまで、総計これだけあるから、念のために覚えて置くがよろしいと、番頭にその記入帳を取り出ださせ、それを私につきつけて説明をなさろうとしますから、私は、いいえ、すでに家督を抛棄したものに、何の財産の知識が要りましょう、捨てた本家の財(たから)を数えるような未練な心はさらさらない、その計算はお聞き申しますまい、その代り、評議で定まった最初から私のいただくべきものになっていた部分だけを、私にお頒(わか)ち下さればそれで充分です、それだけは私がいただいて、自由に使用させていただきましょう、それにしまして、家督を顧みぬ親不孝者には、それも相渡されぬということならば、一文もいただかなくとも結構です、万事、お父様のお心持次第――とこう申しますと、よし、わかった、と父が申しまして、別に用意を致して参りました一冊を、改めて不破の関守さんと、お角さんの手に渡しました――それで、キレイに万事の解決は済みました」「それは、あなた様は済んだとお思いでしょうが、お父様は、この解決に、容易ならぬ不本意でございましたでしょう、でも、それよりほかになさりようのないお心持が、わたくしにもよくわかります」「あなたには、父の心持はよくわかるかも知れませんが、私という女は、わからない女なのです」「いや、わかり過ぎておいでになる――」「いいえ、わかりません、わたしという人間は、天地間第一等のわからず屋でございます、それでいいのです」お銀様の言葉が少し癇(かん)に立ってきたので、弁信はまた病気が出だしたなと思ったのか、広長舌を食いとめて、深く触れることを避けた心遣(こころづか)いがあります...
中里介山 「大菩薩峠」
...昼摘んだ川原撫子を簪代りにした若い女房が月下に鮎の籠を編む洵にそれらしい情景が快く浮んで来る...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...品川の海長谷川時雨女史は嘗て品川の所謂ステンショが波打ち際に建てられてゐて夏の明方など旅客は列車からヒラリ飛下り必らず白浪にその足を快く洗はれたものと誌してゐられた...
正岡容 「山の手歳事記」
...三浦も快く承知してくれました...
三浦環 「お蝶夫人」
...山田先生一家は快く私を受け入れてもとの女中部屋の三畳の部屋をあてがってくださりお子さんのめんどうを見たり家事の手伝い...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...快くなれば皆してまた遊べるじゃないか...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...風邪を冒(ひ)いた女の子がちょっと快くなって...
室生犀星 「陶古の女人」
...メスのように快く吸い込まれる...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...直ぐに快く承知して呉れたと云ふ返事だつた...
吉井勇 「酔狂録」
...明日は戦場で快く会おうぞ」そのあと...
吉川英治 「黒田如水」
...快く泊めてくれた...
吉川英治 「三国志」
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