...曠野の杜を飛々(とびとび)に心覚えの家数は六七軒と数えて十(とお)に足りない...
泉鏡花 「遺稿」
...物心覚えてから十八までの間...
伊藤左千夫 「落穂」
...心覚えに書きとめておいたのかも知れない...
梅崎春生 「赤い駱駝」
...房一にはその男が近在のどこの部落の者だか心覚えがなかつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...世間にうとい一学究の書斎のガラス戸の中からながめたこの不思議な現象のスケッチを心覚えに書きとめておこうというのである...
寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
...雑記帳の終わりのページに書き止めてある心覚えの過去帳をあけて見るとごく身近いものだけでも...
寺田寅彦 「備忘録」
...心覚えのあたりまでやって来ると朦ろな月の光に...
豊島与志雄 「地水火風空」
...中里生曰(いわ)くこの「生前身後」のことは最初から小生の心覚えを忙がしい中で走り書をしていて貰うのだから...
中里介山 「生前身後の事」
...心覚えの経文を誦(ず)しながら歩いて行きました...
中里介山 「大菩薩峠」
...三千両は平次の心覚えを辿って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お礼の心覚えを辿(たど)って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...筆跡に心覚えはないのか」平次はツイそんな細かいことまで訊く気になっておりました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...心覚えの方向を取って進んで行った...
本庄陸男 「石狩川」
...余は始めての会席料理なれば七十五日の長生すべしとて心覚(こころおぼえ)のため書きつけ置く...
正岡子規 「墨汁一滴」
...実はこの心覚えを書くのに就いてそれを読まずにゐるのだが――これに依ると美妙斎の作品の方が世間に公けにされたのは早い事になる...
水野葉舟 「言文一致」
...筒井は心覚えのあるところを捜して見たが...
室生犀星 「津の国人」
...研究によって得られたいかなる決心覚悟にもその堅固さにおいて少しもゆずらないほどの高い階段に...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...心覚えも要心しいしいというところがある...
横光利一 「夜の靴」
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