...心覚えの隔ての襖に触れて試(み)た...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...心覚えに書きつけて置いたものと仮定するのです...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...あすこへ葬ったんだ」「お母さんの病中の心覚えを……たとえば...
橘外男 「仁王門」
...心覚えをして置いた書架から無くなっている...
辰野隆 「愛書癖」
...世間にうとい一学究の書斎のガラス戸の中からながめたこの不思議な現象のスケッチを心覚えに書きとめておこうというのである...
寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
...三千両は平次の心覚えを辿って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...楽譜の心覚えや演奏上の注意やを書き入れるのは...
野村胡堂 「死の舞踏」
...彼は心覚えに書き付けて置いた懐中紙をだして読みあげた...
本庄陸男 「石狩川」
...余は始めての会席料理なれば七十五日の長生すべしとて心覚(こころおぼえ)のため書きつけ置く...
正岡子規 「墨汁一滴」
...実はこの心覚えを書くのに就いてそれを読まずにゐるのだが――これに依ると美妙斎の作品の方が世間に公けにされたのは早い事になる...
水野葉舟 「言文一致」
...置場所などにも心覚えがある...
宮城道雄 「レコード夜話」
...川窪からもらって来た心覚えの書きつけだの...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...同様な決心覚悟が庶民の日常生活の中にもあることを指摘することを忘れない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...心覚えの日誌を」ああそうかと大助は眼で頷(うなず)いた...
山本周五郎 「新潮記」
...昨日吸ひたる香煙(かうえん)の芳ばしき味ひ、しきりになつかしくて堪へ難きまゝに、われにもあらず長崎の方へ踵(くびす)を返して、飛ぶが如く足を早むるに、夢うつゝに物思ひ来りし道程(みちのり)なれば、心覚え更に無し...
夢野久作 「白くれない」
...心覚えも要心しいしいというところがある...
横光利一 「夜の靴」
...心覚えの所へ手探りをのばしかけますと...
吉川英治 「江戸三国志」
...つまりそれは仮りに定めた「物指(ものさし)」というものとの相対的な心覚えにしか過ぎません...
蘭郁二郎 「宇宙爆撃」
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