...かねて心得たりの態度で...
泉鏡花 「婦系図」
...心得た」そこで、ゴリラは別れをつげて、外に出ると、真黒なお宮の様に見える葬儀車を、ヘッドライトを消したまま、いずこともなく運転して行った...
江戸川乱歩 「恐怖王」
...投げるだけ投げた手を、ぱたぱたとはたき上げたかと見る間に――袋はそのまま杖槍は腰に、猿が猿まわしに取っつくように、がんりきの背中へ御免とも言わずに飛びつくと、心得たもので、がんりきの百が、そのまま諸(もろ)に肩をゆすり上げて――「あばよ!」と言って、献上組を尻目にかけ、足の馬力にエンジンをかけると、その迅(はや)いこと...
中里介山 「大菩薩峠」
...百年の経験を十年で上滑(うわすべ)りもせずやりとげようとするならば年限が十分一に縮(ちぢ)まるだけわが活力は十倍に増さなければならんのは算術の初歩を心得たものさえ容易(たやす)く首肯するところである...
夏目漱石 「現代日本の開化」
...恐ろしい落着きと、心得た態度に、十何人の捕方は、ギョッとして立停りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...おべっかを忠義と心得た...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...町内の者に憎まれるから」近藤常平は心得たことを言うのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それは餘程心得たものの仕業(しわざ)でなければなりません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何も彼も心得た風に私を遇して...
林芙美子 「あひびき」
...勇さんだからとて彼(あ)の通り物の道理を心得た...
樋口一葉 「十三夜」
...そいつを好く心得た上で...
牧野信一 「出発」
...高篤三所蔵「風俗画報」の「浅草名所図絵」の挿絵家山本松谷は流石に心得たもので三味線堀の図に配するに捕鼠器にかかつた鼠をこの堀に棄てに行く町娘並びにその背後から興がり噺し立てて行く町の悪童どもを描いてゐる...
正岡容 「下町歳事記」
...心得たとばかり助丸...
正岡容 「寄席」
...大功は小罪を消し一善は一悪を滅すと心得た今日普通の業報説と大いに差(ちが)うようで...
南方熊楠 「十二支考」
...七十両、心得たと、金吾はよろこび勇んで紙入れを出しかけたが、どうして今日はかれ程な男が、こうも、たびたび血のあがったヘマを演じるのか、考えて見れば、屋敷を出た時に金子の用意などは無論していないので、紙入れを逆さに振ってみたところ、高々四、五枚の小判と一両に足らぬ小つぶがあるに過ぎないはず...
吉川英治 「江戸三国志」
...報(し)らせてくれい」「心得た...
吉川英治 「大岡越前」
...猿(さる)は心得たようにいっさんにとんでいく...
吉川英治 「神州天馬侠」
...小平太はあわてず、「心得た」と、すぐ柄(え)を投げすてて組まんとばかり、体当りにとびかかった...
吉川英治 「新書太閤記」
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