...かかる書類に眼を労(つか)らせ肩をはらし命を(むし)り取られて一世を送るも豈(あに)心外ならずや」云々とあるは当時の心事を洩(も)らした述懐であって...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...それでもつて僕は新原得二に「六ヶ月たつてみなければ……」といふ二つの意味をふくめた心外な嫌味を言はれてゐる...
小穴隆一 「二つの繪」
...とどろく胸のうちをさとられまいとして心外な態度をよそおいながらえんあって夫婦になったうえは不足なところもあろうけれども何もやくそくごとだと思ってくれぬか...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...だのに心外なことには...
谷崎潤一郎 「鍵」
...そのままぷいと西比利亜(シベリア)へでも逃げて行かれたらそれっきりだぜ」そう云うと女は心外な表情をして見せて...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...ただ心外なのは、こうやってどしどし「不良華族」の捨て場にされる平民が、宗秩寮によって箸にも棒にもかからないロクでなしと見做されたということだが、尤も同じく平民と云ってもブルジョアもあれば、プロレタリアもあるので、一概には云えないのだから、その点は安心だとして、併し何より心配なのは、こうやってどしどし「不良」でない華族が減って行きはしないかという点だ...
戸坂潤 「社会時評」
...それとも作事方の」「おまえ喧嘩をしたんだろう」「私がですか」泰三は心外なことを聞くものだという眼つきをした...
山本周五郎 「思い違い物語」
...心外なことを聞くものだ...
山本周五郎 「雪の上の霜」
...日本人等は、心外な顏して、君この月を見ずやと指して、晃々の實在を以て語る以上の釋明としたつもりでゐると、巡査はその手を拉して、社會は月を見る場所にあらず、よろしく獄窓に入つて見るべし、とばかりで、どうしてもこの猜疑を解くことができず、遂に警察まで行つて、日本には、百姓や勞働者の生活にさへ、月見の風のあることを辯證するのに、たうとう一晩かかつてしまつたといふ話である...
吉川英治 「折々の記」
...少し心外な解釋だらうと思ふ...
吉川英治 「折々の記」
...心外なりとばかり...
吉川英治 「三国志」
...「これは心外な仰せです...
吉川英治 「三国志」
...そんなにも過大に見えるかと思うたからだ」「これは心外な仰せを」「なぜ心外か」「てまえにすれば...
吉川英治 「三国志」
...消息なきは、夏の初め頃より、鎌倉表におるためと思われまする」「はははは」と、俊基は手の杯を、左近へ与えて「どうやら、土岐は少々、あの若入道に、まいられておるそうな」「これは、心外な」と、単純な彼は、すぐムキな顔になった...
吉川英治 「私本太平記」
...「心外な」と、一ト言いって...
吉川英治 「私本太平記」
...こんなせっぱつまった心外な決定を弟にいわせようとするのは兄の卑怯ではないか...
吉川英治 「私本太平記」
...……はい」「自信があるのか」「ちと心外なおたずねです」「ははは...
吉川英治 「新書太閤記」
...束(たば)になっても敵(かな)わない」これは又八にとって心外なる言葉であった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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