...何んだか心外なような気がしましたから...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...そう物惜しみをなさるなよ」「物惜しみとは心外な! 愚老は何とかして日頃の御恩報じがしたい...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...ただ心外なのは、こうやってどしどし「不良華族」の捨て場にされる平民が、宗秩寮によって箸にも棒にもかからないロクでなしと見做されたということだが、尤も同じく平民と云ってもブルジョアもあれば、プロレタリアもあるので、一概には云えないのだから、その点は安心だとして、併し何より心配なのは、こうやってどしどし「不良」でない華族が減って行きはしないかという点だ...
戸坂潤 「社会時評」
...お前がおかしく思われてもしようがないぞ」といかにも心外な事らしく仰ゃって来られた...
堀辰雄 「ほととぎす」
...それとも作事方の」「おまえ喧嘩をしたんだろう」「私がですか」泰三は心外なことを聞くものだという眼つきをした...
山本周五郎 「思い違い物語」
...日本人等は、心外な顏して、君この月を見ずやと指して、晃々の實在を以て語る以上の釋明としたつもりでゐると、巡査はその手を拉して、社會は月を見る場所にあらず、よろしく獄窓に入つて見るべし、とばかりで、どうしてもこの猜疑を解くことができず、遂に警察まで行つて、日本には、百姓や勞働者の生活にさへ、月見の風のあることを辯證するのに、たうとう一晩かかつてしまつたといふ話である...
吉川英治 「折々の記」
...少し心外な解釋だらうと思ふ...
吉川英治 「折々の記」
...このような心外な沙汰を何で唯々(いい)とおひきうけ遊ばしたか」と...
吉川英治 「黒田如水」
...おことば中でありますが」こは心外なという血相(けっそう)を示して...
吉川英治 「黒田如水」
...心外なりとばかり...
吉川英治 「三国志」
...ほかに心外なことがあるからでした」「楊阜...
吉川英治 「三国志」
...心外な、という顔して、「何の!」と、ばかり追い込むと、信長も負けない気になって、駒の鐙(あぶみ)をたたきに叩いた...
吉川英治 「新書太閤記」
...まだそうなるには心外なような自分を足腰に残しているつもりなのだ...
吉川英治 「新書太閤記」
...……はい」「自信があるのか」「ちと心外なおたずねです」「ははは...
吉川英治 「新書太閤記」
...主人の口上をそのまま伝えるのは心外な気もしたが...
吉川英治 「新書太閤記」
...(……心外なことではある)近ごろめっきり数正の顔には深い皺(しわ)がきざまれていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...いささか心外なような顔色を示して答えた...
吉川英治 「源頼朝」
...束(たば)になっても敵(かな)わない」これは又八にとって心外なる言葉であった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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