...とどろく胸のうちをさとられまいとして心外な態度をよそおいながらえんあって夫婦になったうえは不足なところもあろうけれども何もやくそくごとだと思ってくれぬか...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...實はか程の人を大阪市が横取りされるといふことは勿論心外なことであるべき筈でありますが...
内藤湖南 「大阪の町人學者富永仲基」
...心外なのはこの指の痛みです...
中里介山 「大菩薩峠」
...よほど心外なものだったらしい...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...それとも作事方の」「おまえ喧嘩をしたんだろう」「私がですか」泰三は心外なことを聞くものだという眼つきをした...
山本周五郎 「思い違い物語」
...甚(はなは)だ心外な所で乗り合せたものですな...
横光利一 「上海」
...日本人等は、心外な顏して、君この月を見ずやと指して、晃々の實在を以て語る以上の釋明としたつもりでゐると、巡査はその手を拉して、社會は月を見る場所にあらず、よろしく獄窓に入つて見るべし、とばかりで、どうしてもこの猜疑を解くことができず、遂に警察まで行つて、日本には、百姓や勞働者の生活にさへ、月見の風のあることを辯證するのに、たうとう一晩かかつてしまつたといふ話である...
吉川英治 「折々の記」
...少し心外な解釋だらうと思ふ...
吉川英治 「折々の記」
...おことば中でありますが」こは心外なという血相(けっそう)を示して...
吉川英治 「黒田如水」
...酒食を饗せられるは心外なりと思し召すやも知れませんが...
吉川英治 「三国志」
...「これは心外な仰せです...
吉川英治 「三国志」
...消息なきは、夏の初め頃より、鎌倉表におるためと思われまする」「はははは」と、俊基は手の杯を、左近へ与えて「どうやら、土岐は少々、あの若入道に、まいられておるそうな」「これは、心外な」と、単純な彼は、すぐムキな顔になった...
吉川英治 「私本太平記」
...武士下郎(げろう)の輩の膝下(しっか)にねじ伏せられて、荒縄の縛(いまし)めをうけるなどは、およそ心外なと、おん目をつりあげ、「なぜ答えぬっ」と、答えぬ名和長年の横顔へ吠(ほ)えたのも当然だった...
吉川英治 「私本太平記」
...「心外な」と、一ト言いって...
吉川英治 「私本太平記」
...心外な仰せ」「だまれ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...――心外な!彼はまたそれを...
吉川英治 「日本名婦伝」
...心外なことはない」「嘘を仰っしゃいませ」「なに」「あなた様が...
吉川英治 「源頼朝」
...束(たば)になっても敵(かな)わない」これは又八にとって心外なる言葉であった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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