...前の銚子を傍(かたえ)へ除(の)けようとして心付く...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...ああ、江戸児(えどッこ)はこの味を知るまい、と乗合の婦(おんな)の移香を、楽(たのし)みそうに、歯をスーと遣(や)って、片手で頤(あご)を撫でていたが、車掌のその御注意に、それと心付くと、俄然(がぜん)として、慄然(りつぜん)として、膚(はだ)寒うして、腰が軽い...
泉鏡花 「婦系図」
...はじめて心付くと...
泉鏡花 「婦系図」
...(心付く)不重宝(ぶちょうほう)...
泉鏡花 「海神別荘」
...女房 (心付く)おお...
泉鏡花 「海神別荘」
...ひとしきり止(や)んでいたピアノの音が再び階下から聞えて来たのに心付くと...
谷崎潤一郎 「細雪」
...が、そう心付くと、あ、板倉さん、と大声で叫んだが、それは板倉に向って云うよりも、室内にいる女史と弘少年とに、救助者が現れたことを知らせて彼等を力づけるためであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
......
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...吾人はまづ異(ことな)れるこの二種の芸術を鑑賞せんには全然別様(べつよう)の態度を取らざるべからざる事に心付くべし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...」歌麿の描ける女の常に甚(はなはだ)しく長身なるは浮世絵を通覧するものの直(ただち)に心付く処なるべし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...全く我ながら馬鹿らしい事だと心付く...
永井荷風 「海洋の旅」
...また心付くも無頓着なるごとく...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...画室の塵(ちり)一本もなきように綺麗に掃除しあるに心付く...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森鴎外訳 「家常茶飯」
...誰にもすぐ心付くのは湫の漢字を宛てたクテまたはグデである...
柳田國男 「地名の研究」
...心付くことが多いであろう...
柳田国男 「年中行事覚書」
...それを比べて見れば必ず新たに心付くことがあろうと思うが...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...『平家』や『盛衰記』を見て心付くことは...
柳田国男 「雪国の春」
...処がこのお艶と申します後妻は、先年大浜で斬首(うちくび)になりました詐欺(いかさま)賭博の名人、カラクリ嘉平の娘だけありまして、仕掛博奕の手練者(てだれもの)で、諸国の商人(あきんど)を手玉に取って絞り上げておったと言う話で御座いますが、それにしても同じ危い橋を渡るならば、いっその事、御封印のお金を扱うておる蔵元屋に乗込んで、一か八かの大仕掛の盆茣蓙に坐って一生涯の運命を張ってみたいというのが、骨の髄から賭事好(ばくちず)きのお艶の本心であったらしく、あらん限りの手管で伊兵衛を綾なして首尾よく蔵元屋の後妻(あといり)に坐ると間もなく、当時まだ六つか七歳(ななつ)で御座いました継子のお熊を手に入れて揉むほど可愛がり始めた処は、まことに見上げたものと言う評判で御座いました」「成る程のう」「……ところが今から考えますると、これが毒蛇よりも恐ろしい継母お艶の手練手管で、実情(せいかく)を申しますと何の可愛がる処か、自分の手に付けて遊ばせる振りをしては花札の手配りや、賽の目の数え方を仕込んだのがソモソモで、さような事には何の気もない、あどけないお熊が、物心付く頃には、もはや立派なカラクリ博奕の名人、壺振りの見透しと言う恐ろしい腕前に仕上げたもので御座います...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
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