...女はオオと驚くに予も心付きてヤヤと愕きたり...
饗庭篁村 「良夜」
...が、そう心付くと、あ、板倉さん、と大声で叫んだが、それは板倉に向って云うよりも、室内にいる女史と弘少年とに、救助者が現れたことを知らせて彼等を力づけるためであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...この説先年は心付き候えども...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...何事の起ったのかと種彦はふと心付けばわが佇(たたず)む地の上は一面に踏砕(ふみくだ)かれた水晶瑪瑙(めのう)琥珀(こはく)鶏血(けいけつ)孔雀石(くじゃくせき)珊瑚(さんご)鼈甲(べっこう)ぎやまんびいどろなぞの破片(かけら)で埋(うず)め尽(つく)されている...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...清岡は我知らず言過ぎたと心付き狼狽(うろた)えて言いまぎらしたのも...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...到底西洋の新芸術を論ずる事能はざるに心付きぬ...
永井荷風 「矢立のちび筆」
...走るべき広漠たる平野なからざるべからざる事に心付きたり...
永井荷風 「矢立のちび筆」
...傷負える人の傷ありと心付かぬ時ほど悔(くい)の甚(はなはだ)しきはあらず...
夏目漱石 「薤露行」
...小さい健三がふと心付いて見ると...
夏目漱石 「道草」
...心付けと、十手と、詫言(わびごと)と、脅かしと、硬軟いろ/\に使ひわけて、亥刻半(よつはん)(十一時)頃、廻つて來たのは、御隱殿裏(ごいんでんうら)でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...邸(やしき)中の者がみんな心付いて居ることでした...
野村胡堂 「判官三郎の正体」
...もうすぐあなた方は心付かれるだろう...
正岡容 「我が圓朝研究」
...野干の告げに心付いて注意しおると獅巣から出るとて右のごとく振舞う虎も起き出てかく動作した...
南方熊楠 「十二支考」
...もう来るころと待っていて若干(いくらか)祝儀を出すとまたワッショウワッショウと温和(おとな)しく引き上げて行くがいつの祭りの時だったかお隣の大竹さんでは心付けが少ないと言うので神輿の先棒で板塀を滅茶滅茶(めちゃめちゃ)に衝き破られたことがあったのを...
水上滝太郎 「山の手の子」
...ははアと心付いて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一八 天孫氏説起源或いはもう心付いた人が有るかも知れない...
柳田国男 「海上の道」
...宿屋にも充分の心付けをして「当分娘と共に厄介になるから」と最上等の室(へや)へ案内させた...
夢野久作 「黒白ストーリー」
...世知らぬ乙女心のおぞましさに其(その)時は夢更(ゆめさら)心付き候はず...
夢野久作 「白くれない」
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