...彼が心ひそかに念じている一縷の望みも日一日と崩れて行くのだった...
モオパッサン 秋田滋訳 「親ごころ」
...寒雀! と内心ひそかに狂喜したのである...
太宰治 「チャンス」
...心ひそかに心配する者もあった...
田中貢太郎 「女賊記」
...扉の隙間から接吻を送っている女の顔へ心ひそかに永久の「さよなら」を投げるのであるが...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...たとへ心ひそかに房一を医者として自分と同列に考へなかつたとは云へ...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...心ひそかによろこんでいます...
中里介山 「大菩薩峠」
...心ひそかに思慕の恋情を寄せ...
萩原朔太郎 「月の詩情」
...意外にも心ひそかに...
林芙美子 「あひびき」
...心ひそかに人びとの気分をたえず観察しているんです...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...鍛冶屋は心ひそかに呟やいたものだ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...流れ去る紙片に準(なぞら)へ御帰省を心ひそかに待ちつゞけてをりました私とは...
牧野信一 「〔婦人手紙範例文〕」
...というふうに心ひそかにその日その日をかたみにしていたが...
室生犀星 「姫たちばな」
...心ひそかに占つてみたらしい...
吉川英治 「折々の記」
...郭淮は大いに驚き、心ひそかに、われ到底この人に及ばずと、内に入って対面を遂げ、心服をあらわして敬拝した...
吉川英治 「三国志」
...伊那丸は心ひそかにゆだんをしない...
吉川英治 「神州天馬侠」
...かれは少女のふしぎな行動を見て、ははアこれは伊那丸君(いなまるぎみ)を救おうという者だナ、と直覚したが、なにしろ、梅雪の警固(けいご)には、四天王(てんのう)をはじめ、手ごわい旗本(はたもと)や郎党(ろうどう)が百人近くもついているので、あくまで入道(にゅうどう)をゆだんさせるため、奇計をもって咲耶子(さくやこ)を生けどり、なお、心ひそかに、待つ者がくるひまつぶしに、この湖水までおびきよせたのだ...
吉川英治 「神州天馬侠」
...彼が、心ひそかに、惧(おそ)れていたものは、味方の兵力に十数倍する彼の一挙に入洛(じゅらく)を図って来ることだった...
吉川英治 「源頼朝」
...心ひそかに嗟嘆(さたん)して已(や)んだのであった...
和辻哲郎 「孔子」
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