...鴉(からす)の左大弁様の心なしを御承知になっていたのでございます...
芥川龍之介 「邪宗門」
...遜れる心なしに人はこの十字架に堪へることが出來ない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...悲しみの為か心なしやつれの見える夫人の容貌(かお)は...
大阪圭吉 「花束の虫」
...彼女の心なしをとがめずにはいられなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...やはり向こうからもなんらの下心なしに愛されるのが自然であると...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「竹調べ」から「鉢返し」――「鉢返し」から「盤渉(ばんしき)」世界もちょうど――平調(ひょうじょう)から盤渉にめぐるの時――心ありや、心なしや、この音色...
中里介山 「大菩薩峠」
...心なしか今日は十勝の噴煙も高々と立っているようである...
中谷宇吉郎 「雪後記」
...本藩に対して功名心なし既(すで)に心に決定して居れば...
福澤諭吉 「福翁自伝」
......
松本たかし 「松本たかし句集」
...心なしに借用したのも古い事なのだが...
柳田国男 「海上の道」
...とうてい中心なしに別々に始まったものとは思えない...
柳田国男 「こども風土記」
...心なしかほっと安堵(あんど)したような色が眼にあらわれるのを私は見たと思った...
山本周五郎 「日本婦道記」
...心なしかその睫毛のない眼をしばだたいて...
吉川英治 「大谷刑部」
...――このさい二心なし...
吉川英治 「私本太平記」
...私宅においてのぞむ心なし一...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...心なしか去年あたりより幾ぶん肉の削(そ)げたかに見える眼もとではあるが...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...心なしか、こよいは、灯も鮮やかに、翳(くも)りなく点(とも)って、なんとなく胸も花やぐようなと、灯占(ひうら)をたてていたが――花田橋ではお許(もと)に待たせたが、こたびはわしが待つであろう瀬田の湖畔に牛をつないでと、武蔵からの便り...
吉川英治 「宮本武蔵」
...心なしか、そう思って、吉野朝以前からというここの古い砦型(とりでがた)の城を仰ぐと、四山の春は迫って来ているに関(かか)わらず、どことなくしいんとして冷寂な感がある...
吉川英治 「宮本武蔵」
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