...我俳諧撰集の心なし...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...老後財宝所領に心なし...
太宰治 「花吹雪」
...心なしか今迄懇意にしていた人々が急に自分を妙な眼で見始めたような気がしてならなかったのに...
谷崎潤一郎 「細雪」
...心なしの遣り方だつた...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...されば新橋辺にて家持(いえもち)の芸者は色仕掛のお客と見れば用心なしあまりしげしげ呼ばるる時は芸者の方より体(てい)よく返礼をなして後の難儀を避くる由(よし)...
永井荷風 「桑中喜語」
...余脚本の腹案なきにあらねど筆持つ心なし...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...心なしか、行手の藪蔭、木立の隙間、百姓家の角などに、時々チラと若い女の後ろ姿を見掛けるような気がしたのでした...
野村胡堂 「江戸の火術」
...心なしの金髮の捲毛がこぼれてゐる...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...それが私には心なしか...
堀辰雄 「菜穂子」
......
松本たかし 「松本たかし句集」
...なんの下心なしにぐうぜんこの質問(しつもん)を発するなら...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...かれが身をめぐらして引ッ返したのは一瞬でありましたが、元の場所へ馳け戻ってみると、こはいかに、洞窟の奥には、一点の蝋(ろう)の灯の明りも今の喧騒もハタとなく、またあれだけ居た盗ッ人(と)市の集まりが一人として見当りもせず、心なし、そこに有りやと窺われるものは、漆壺(うるしつぼ)をのぞくに似た陰たる鬼気のただよいであります...
吉川英治 「江戸三国志」
...この日、心なしか、薄雲がみなぎって、日輪は寒々とただ紅かった...
吉川英治 「三国志」
...彼が二心なしといってきたのは...
吉川英治 「私本太平記」
...心なしかその涙をふくんでいるように聞え...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...私宅においてのぞむ心なし一...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...心なしか浜川の海岸へ立って...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...心なしか、そう思って、吉野朝以前からというここの古い砦型(とりでがた)の城を仰ぐと、四山の春は迫って来ているに関(かか)わらず、どことなくしいんとして冷寂な感がある...
吉川英治 「宮本武蔵」
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