...詩歌はその又微妙なものさへ掴(つか)めば...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...飽く事もなくその縁(ふち)から底にかけての円味(まるみ)を持った微妙な手ざわりを愛(め)で慈(いつく)しんだ...
有島武郎 「或る女」
...身体全体のどんな微妙な隅々までも知り合っているものだが...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...そうして日本人だけの感じうる特殊な微妙な感覚ではないかという気がする...
寺田寅彦 「涼味数題」
...多くは微妙な呼吸をしている...
豊島与志雄 「作家的思想」
...子供の声と女の声との微妙な中間にある若い娘の声に合わさっている...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...つひムラムラツとしたのだらう」「へエ――つまらねえ女ですね」ガラツ八にはその微妙な心持がわかりません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「お紋は本當に隣りの金次のところへ嫁に行く氣だつたのか」こんな微妙な問題に對しては...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...男女の間の微妙な関係は...
橋本五郎 「地図にない街」
...微妙な神霊が伝はるンだ...
林芙美子 「浮雲」
...最も微妙な音楽がそこから溢れでるやうな気持がした...
原民喜 「永遠のみどり」
...小鳥たちは時間のなかでも最も微妙な時間を感じとり...
原民喜 「心願の国」
...云ふことに微妙な甘味を持つてゐるね...
牧野信一 「波の戯れ」
...悲しみと云うものは世のすべてのものより勝って微妙なものですけれ共少女小説のいままでのものに表われて居るのは必して考え深い悲しみではありません...
宮本百合子 「現今の少女小説について」
...猶々微妙ないくつかの点もある...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...同時にまた祭や節日に対する微妙なる準備心理であった...
柳田国男 「木綿以前の事」
...貨幣と人心との微妙な反射作用だの...
吉川英治 「私本太平記」
...名も知れぬ誰やらが歌つた、土用なかばに秋風ぞ吹く、といふあの一句の、荒削りで微妙な、丁度この頃の季節の持つ『時』の感じ、あれがひいやりと私の血の中に湧いたのであつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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