...壕内の乏しい電灯の光を吸うて微かに光った...
梅崎春生 「桜島」
...昔のなつかしさがまだ微かに残つてゐるのを私は見出さないわけに行かなかつた...
田山録弥 「ある日」
...」微かな、不慥かな声である...
オイゲン・チリコフ Evgenii Nikolaevich Chirikov 森林太郎訳 「板ばさみ」
...束(つか)の間(ま)のほんの微かな誇りの色を浮べながら...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...微かに脣の動いた微笑であった...
直木三十五 「南国太平記」
...あの声は……」二人は廊下の闇を微かな雪洞(ぼんぼり)の光をたよりに山崎の様子をうかがうと...
中里介山 「大菩薩峠」
...到底そのつもりでいなければ聞けないほどの微かな音でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...うす蒼く微かな翳(かげ)をもったりして...
中島敦 「狼疾記」
...茜色の水々しい空には微かに横雲が浮んでゐて...
原民喜 「火の唇」
...簾の中から灯火が微かに漏れている...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...」お蝶は眼を伏せて微かに呟いだ...
牧野信一 「父の百ヶ日前後」
...風船のやうにふはふはと揺いでゐるのを微かに感じた...
牧野信一 「父を売る子」
...微かだが自分のからだを如何(どう)することも出来なくなったようで気がじれる...
水野葉舟 「帰途」
...長い茎を露わして凋(しお)れ落ちる微かな夕風が渡るだけだった...
室生犀星 「後の日の童子」
...腸(はらわた)の底から湧き上って来る不可思議な戦慄が微かに戦(おのの)きふるえていた...
夢野久作 「斜坑」
...微かながら一縷(いちる)の望(のぞ)みを生に懸ける心理がどこかにあったとすれば...
吉川英治 「黒田如水」
...「ありがとうぞんじまする」微かにいってまた...
吉川英治 「親鸞」
...その頂上からは純白な煙が微かに立つてやがて湯氣の樣に消えてゐる...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??