...御袋を持っていく...
...臍繰金(へそくりがね)が欲しいばかりに二人と無え御袋を...
芥川龍之介 「鼠小僧次郎吉」
...与吉の御袋がどうも御気の毒さまと云ったぎりで毬はとうとう喜いちゃんの手に帰らなかった...
夏目漱石 「永日小品」
...しかしあの御袋様(おふくろさま)がやはり少し変でな」「うちにいるのかい」「いいえ...
夏目漱石 「草枕」
...あの御袋の世話をするのが厭(いや)だと云うんだろうじゃないか」「甲野が神経衰弱だから...
夏目漱石 「虞美人草」
...いつでも御袋(おふくろ)が三日前に亡(な)くなりましたと云うような顔をして帳場の所へ控(ひか)えている...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...こんな御袋(おふくろ)を持ったが最後朝から晩まで泣き通しに泣いていなくてはならない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...八っちゃんの御袋と云い...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...御袋など一と通り揃っていると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...御袋など一と通り揃つてゐると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...父親(てておや)は先刻(さきほど)より腕ぐみして目を閉ぢて有けるが、ああ御袋、無茶の事を言ふてはならぬ、我(わ)しさへ始めて聞いてどうした物かと思案にくれる、阿関(おせき)の事なれば並大底でこんな事を言ひ出しさうにもなく、よくよく愁(つ)らさに出て来たと見えるが、して今夜は聟どのは不在(るす)か、何か改たまつての事件でもあつてか、いよいよ離縁するとでも言はれて来たのかと落ついて問ふに、良人(おつと)は一昨日(おととひ)より家へとては帰られませぬ、五日六日と家を明けるは平常(つね)の事、さのみ珍らしいとは思ひませぬけれど出際(でぎは)に召物の揃(そろ)へかたが悪いとて如何(いか)ほど詫びても聞入れがなく、其品(それ)をば脱いで擲(たた)きつけて、御自身洋服にめしかへて、吁(ああ)、私位(ぐらゐ)不仕合の人間はあるまい、御前のやうな妻を持つたのはと言ひ捨てに出て御出で遊しました、何といふ事で御座りませう一年三百六十五日物いふ事も無く、稀々(たまたま)言はれるはこの様な情ない詞をかけられて、それでも原田の妻と言はれたいか、太郎の母で候(さふらふ)と顔おし拭(ぬぐ)つてゐる心か、我身ながら我身の辛棒がわかりませぬ、もうもうもう私は良人(つま)も子も御座んせぬ嫁入せぬ昔しと思へばそれまで、あの頑是ない太郎の寝顔を眺めながら置いて来るほどの心になりましたからは、もうどうでも勇の傍に居る事は出来ませぬ、親はなくとも子は育つと言ひまするし、私の様な不運の母の手で育つより継母御なり御手かけなり気に適(かな)ふた人に育てて貰ふたら、少しは父御(ててご)も可愛(かわゆ)がつて後々(のちのち)あの子の為にも成ませう、私はもう今宵(こよひ)かぎりどうしても帰る事は致しませぬとて、断つても断てぬ子の可憐(かわゆ)さに、奇麗に言へども詞はふるへぬ...
樋口一葉 「十三夜」
...あゝ御袋(おふくろ)...
樋口一葉 「十三夜」
...父(てゝ)親は先刻(さきほど)より腕ぐみして目を閉ぢて有けるが、あゝ御袋、無茶の事を言ふてはならぬ、我しさへ初めて聞いて何うした物かと思案にくれる、阿關の事なれば並大底で此樣な事を言ひ出しさうにもなく、よく/\愁(つ)らさに出て來たと見えるが、して今夜は聟どのは不在(るす)か、何か改たまつての事件でもあつてか、いよ/\離縁するとでも言はれて來たのかと落ついて問ふに、良人は一昨日より家へとては歸られませぬ、五日六日と家を明けるは平常(つね)の事、左のみ珍らしいとは思ひませぬけれど出際に召物の揃へかたが惡いとて如何ほど詫びても聞入れがなく、其品(それ)をば脱いで擲(たゝ)きつけて、御自身洋服にめしかへて、吁(あゝ)、私(わし)位不仕合の人間はあるまい、御前のやうな妻を持つたのはと言ひ捨てに出て御出で遊ばしました、何といふ事で御座りませう一年三百六十五日物いふ事も無く、稀々言はれるは此樣な情ない詞をかけられて、夫れでも原田の妻と言はれたいか、太郎の母で候と顏おし拭つて居る心か、我身ながら我身の辛棒がわかりませぬ、もう/\もう私は良人(つま)も子も御座んせぬ嫁入せぬ昔しと思へば夫れまで、あの頑是ない太郎の寢顏を眺めながら置いて來るほどの心になりましたからは、最う何うでも勇の傍に居る事は出來ませぬ、親はなくとも子は育つと言ひまするし、私の樣な不運の母の手で育つより繼母御なり御手かけなり氣に適ふた人に育てゝ貰ふたら、少しは父御も可愛がつて後々あの子の爲にも成ませう、私はもう今宵かぎり何うしても歸る事は致しませぬとて、斷つても斷てぬ子の可憐(かわゆ)さに、奇麗に言へども詞はふるへぬ...
樋口一葉 「十三夜」
...しからざれば若衆の御袋様と(以下欠文)」とあり...
南方熊楠 「十二支考」
...ことに御袋樣などはたとへ何千圓何萬圓かかつてもあなたを探し出す樣にといふわけだ相で……」と言ひ出した...
若山牧水 「熊野奈智山」
便利!手書き漢字入力検索