...「御父様はお元気ですか?」...
...「御父様が昨日作ってくださった料理、美味しかったですね...
...「御父様が好きだった曲を聴いていると、懐かしい気持ちになります...
...「御父様とは最近連絡を取っていないので、心配です...
...「御父様からの手紙が届いたよ...
...御父様(おとうさま)の所へ御帰りになる御仕度をなすって下さいまし...
芥川龍之介 「犬と笛」
...「私は御父様の御云ひつけに背(そむ)いた事はございません...
芥川龍之介 「老いたる素戔嗚尊」
...――御父様はどうしてそんな――」「背かない気ならば...
芥川龍之介 「老いたる素戔嗚尊」
...よしんば御父様が御歿(おな)くなりなすつても...
芥川龍之介 「老いたる素戔嗚尊」
...一先(ひとまず)御父様(おとうさま)の御国へお帰りなさい...
芥川龍之介 「三つの宝」
...むめの三人の連中は毎日猫の墓へ水をとりかえ花を差し上げて早く御父様の全快を御祈りに居り候」とあった...
夏目漱石 「思い出す事など」
...「御父様の御病気はいかがでございますか...
夏目漱石 「思い出す事など」
...御父様も私の事を思わずに御病気を早く直して早く御帰りなさいませ...
夏目漱石 「思い出す事など」
...「今(いま)貴方(あなた)の御父様(おとうさま)の御話(おはなし)を伺(うかゞ)つて見ると...
夏目漱石 「それから」
...御父様(おとうさま)と仲(なか)直りをなすつて...
夏目漱石 「それから」
...御父様と仲直りをなすって...
夏目漱石 「それから」
...此方(こっち)でも御父様始め兄さんや...
夏目漱石 「それから」
...けれどもその節御父様は...
夏目漱石 「それから」
...母は毎日三つになる子供に「御父様は」と聞いている...
夏目漱石 「夢十夜」
...坊や御父様がうまいものをやるからおいでてって...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...娘は今更のやうに見上げて御父様(おとつさん)私(わたくし)は御願ひがあつて出たので御座ります...
樋口一葉 「十三夜」
...御父様(おとつさん)...
樋口一葉 「十三夜」
...それはどういふ子細でと父も母も詰寄つて問かかるに今までは黙つてゐましたれど私の家(うち)の夫婦(めをと)さし向ひを半日見て下さつたら大底が御解りに成ませう、物言ふは用事のある時慳貪(けんどん)に申(まをし)つけられるばかり、朝起まして機嫌をきけば不図(ふと)脇(わき)を向ひて庭の草花を態(わざ)とらしき褒(ほ)め詞(ことば)、これにも腹はたてども良人(おつと)の遊ばす事なればと我慢して私は何も言葉あらそひした事も御座んせぬけれど、朝飯(あさはん)あがる時から小言は絶えず、召使の前にて散々と私が身の不器用不作法を御並べなされ、それはまだまだ辛棒もしませうけれど、二言目には教育のない身、教育のない身と御蔑(おさげす)みなさる、それは素(もと)より華族女学校の椅子(いす)にかかつて育つた物ではないに相違なく、御同僚の奥様がたの様にお花のお茶の、歌の画のと習ひ立てた事もなければその御話しの御相手は出来ませぬけれど、出来ずは人知れず習はせて下さつても済むべき筈、何も表向き実家の悪るいを風聴(ふうちやう)なされて、召使ひの婢女(をんな)どもに顔の見られるやうな事なさらずとも宜かりさうなもの、嫁入つて丁度半年ばかりの間は関や関やと下へも置かぬやうにして下さつたけれど、あの子が出来てからと言ふ物はまるで御人が変りまして、思ひ出しても恐ろしう御座ります、私はくら暗(やみ)の谷へ突落されたやうに暖かい日の影といふを見た事が御座りませぬ、はじめの中は何か串談(じようだん)に態(わざ)とらしく邪慳(じやけん)に遊ばすのと思ふてをりましたけれど、全くは私に御飽きなされたのでこうもしたら出てゆくか、ああもしたら離縁をと言ひ出すかと苦(いぢ)めて苦めて苦め抜くので御座りましよ、御父様も御母様も私(わたし)の性分は御存じ、よしや良人が芸者狂ひなさらうとも、囲い者して御置きなさらうともそんな事に悋気(りんき)する私でもなく、侍婢(をんな)どもからそんな噂(うわさ)も聞えまするけれどあれほど働きのある御方なり、男の身のそれ位はありうちと他処行(よそゆき)には衣類(めしもの)にも気をつけて気に逆らはぬやう心がけておりまするに、唯(ただ)もう私の為(す)る事とては一から十まで面白くなく覚しめし、箸(はし)の上げ下(おろ)しに家の内の楽しくないは妻が仕方が悪るいからだと仰(おつ)しやる、それもどういふ事が悪い、此処(ここ)が面白くないと言ひ聞かして下さる様ならば宜けれど、一筋につまらぬくだらぬ、解らぬ奴、とても相談の相手にはならぬの、いはば太郎の乳母(うば)として置いて遣(つか)はすのと嘲(あざけ)つて仰しやるばかり、ほんに良人といふではなくあの御方は鬼で御座りまする、御自分の口から出てゆけとは仰しやりませぬけれど私がこの様な意久地なしで太郎の可愛(かわゆ)さに気が引かれ、どうでも御詞に異背せず唯々(はいはい)と御小言を聞いておりますれば、張(はり)も意気地もない愚うたらの奴、それからして気に入らぬと仰しやりまする、さうかと言つて少しなりとも私の言条(いひでう)を立てて負けぬ気に御返事をしましたらそれを取(とつ)てに出てゆけと言はれるは必定、私は御母様出て来るのは何でも御座んせぬ、名のみ立派の原田勇に離縁されたからとて夢さら残りをしいとは思ひませぬけれど、何にも知らぬあの太郎が、片親に成るかと思ひますると意地もなく我慢もなく、詫(わび)て機嫌を取つて、何でも無い事に恐れ入つて、今日までも物言はず辛棒してをりました、御父様、御母様、私は不運で御座りますとて口惜(くや)しさ悲しさ打出(うちいだ)し、思ひも寄らぬ事を談(かた)れば両親(ふたおや)は顔を見合せて、さてはその様の憂き中(なか)かと呆(あき)れて暫時(しばし)いふ言もなし...
樋口一葉 「十三夜」
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