...心は渺(びょう)として空(むな)しく河上を徘徊(はいかい)するという間の抜けた有様であった...
太宰治 「竹青」
...江口や神崎がこの川下のちかいところにあったとすればさだめしちいさな葦分(あしわ)け舟(ぶね)をあやつりながらここらあたりを徘徊(はいかい)した遊女も少くなかったであろう...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...此(この)深夜(よふけ)に窓の下を徘徊して居るとは夢にも知らぬであろう...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...この地上を徘徊するのである...
外村繁 「澪標」
...頬冠(ほおかむり)の人肌寒(はださむ)げに懐手(ふところで)して三々五々河岸通(かしどおり)の格子外(こうしそと)を徘徊(はいかい)する引四時過(ひけよつすぎ)の寂しさか(『絵本江戸土産』巻六)然らずば仲之町(なかのちょう)の木戸口(きどぐち)はあたかも山間の関所(せきしょ)の如く見ゆる早朝の光景(江戸百景の中(うち)廓中東雲(しののめ))なり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...折節(おりふし)尾張町辺を徘徊(はいかい)し...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...そこを立退いて諸国を徘徊(はいかい)していたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...プラットフォームの上には雨合羽(あまがっぱ)を着た五六の西洋人と日本人が七時二十分の上り列車を待つべく無言のまま徘徊(はいかい)していた...
夏目漱石 「初秋の一日」
...夜は遲く起きて徘徊す...
萩原朔太郎 「氷島」
...顔を皺(しか)めて其処此処(そこここ)と徘徊(うろつ)き出した...
二葉亭四迷 「浮雲」
...「松門暁到月徘徊(しようもんあかつきにいたりてつきはいくわいす)」(柏城尽日風蕭瑟(はくじやうひねもすかぜせうしつ))と僧であるが文学的の素養の豊かな人は添えて聞かせてもくれた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...狼の徘徊する処となった...
矢内原忠雄 「帝大聖書研究会終講の辞」
...福岡博多の町々を徘徊して物を貰い...
夢野久作 「狂歌師赤猪口兵衛」
......
横瀬夜雨 「天狗塚」
...僕一人(ひとり)先(ま)づ目覚めて船甲板(ボウトデツキ)を徘徊して居ると...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...予は屡(しば/\)此(この)門前を徘徊(はいくわい)して帰るに忍びなかつた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...この辺を徘徊した...
吉川英治 「魚紋」
...前法山 東寔敬題 ※千古難消満面埃龍顔不悦赴邦出梁王殿上一徘徊十万迢々越漠来これも最初私は...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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