...締切の日に後れて他人に迷惑をかけたり...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...……あの水の美しさは、只見た人のみがこれを知る……三人から、はるかに後れて、岩をいくつもいくつも越したり、一坪か二坪ばかりの白い砂地に靴のあとをつけたりして行くうちに、ふと、大きな、丸い岩にはらんばいになって、しきりに下の水をのぞいている北沢の姿を発見した...
石川欣一 「可愛い山」
...そしてそんな時代後れの見解に支へられてゐるのは非現代的な教育者である事...
エマ・ゴオルドマン 伊藤野枝訳 「死んだ魂」
...先月号はあんなに後れてしまひますし...
伊藤野枝 「編輯室より(一九一五年六月号)」
...どうする? 一ときでも後れたら...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...時間に後れさうな女判任か事務員らしいのが自分を追ひ越して...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...たちまち他の国々より文明が後れて...
丘浅次郎 「改善は頭から」
...そういう時も他の掛取りが時間が後れて取れないため...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...しかし一行はまだ其處で後れたある一つの群を待たなければならなかつた...
田山花袋 「歸國」
...彼は茂樹に後れまいと足を早めた...
豊島与志雄 「椎の木」
...出版界も決して立後れることは出来ないと思われる...
中井正一 「集団文化と読書」
...この辺の草相撲では後れを取ったことのない甚目寺(じもくじ)の音公でしたから...
中里介山 「大菩薩峠」
...弓槍劍人に後れを取る氣はないが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...しかしまだ/\知らない人も多いだらうからさういふ謂はゞ外国語を習ひ後れた人には...
二葉亭四迷 「エスペラントの話」
...大分後れて呑気な脚どりでぽか/\と従いて来る後ろの百合子達を振り返つて「これから...
牧野信一 「南風譜」
...こんな人達は余り自信の無い時代後れの輩であるといっても敢て不都合な事はあるまい...
牧野富太郎 「植物記」
...これよりも後れてこれに追随してきたに過ぎぬように思われる...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...自慢の煙草入れを腰から抜いて、すぽんと気持のよい音を立てて筒から取り出す煙管がまたそれ相応の代物、金銀張分け、金や朧銀の毛彫もの、赤銅の金象眼または四ところ金など、村田、住吉屋の特製を誇り、羅宇は象牙、鉄刀木、斑竹などを用い、国分や雲井の上等の刻みを詰めて悠々とヤニ下った様子は、いかにも大家の主人公らしく、マドロスパイプの横啣(くわ)えとは、奥床しさ全く比較にならないが、今は時代後れだ...
山本笑月 「明治世相百話」
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