...私の生活が同一軌道を繰り返し繰り返し往来するのを一番便利とする...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...私は何故といふ理由もなしに「毎日」の日下部君と親しく往来する様になつた...
石川啄木 「菊池君」
...海浜を往来するものが驚いて帰り...
井上円了 「おばけの正体」
...折返し有志を伴って往来すること四回に及んでいた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...そこらここらに往来する兵隊も見た...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...あまつさえそこに往来する王様の姿もが共にあい漾映して真の動ける十万億仏土を顕現したるがさまであったという...
中井正一 「うつす」
...吾人の心裏(しんり)に往来する喜怒哀楽は...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...廊下を往来する守衛の靴の音が...
平林初之輔 「犠牲者」
...けれども斯(こ)うして船に乗(のっ)て亜米利加(アメリカ)に往来するのも...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...二筋三筋扇頭(せんとう)の微風に戦(そよ)いで頬(ほお)の辺(あたり)を往来するところは...
二葉亭四迷 「浮雲」
...人間の往来するあちらでは数年来のさんざんな労苦があったが...
本庄陸男 「石狩川」
...十数町を隔てた小学校へ往来するほかには...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...四辻に置けば往来する人々指先から乳を出して飲ませる...
南方熊楠 「十二支考」
...美しい人びとの往来する朱雀大路(すざくおおじ)を思うだけでも...
室生犀星 「津の国人」
...渓川の向いは炭(すみ)焼(や)く人の往来する山なりという...
森鴎外 「みちの記」
...日本は山国で北は津軽の半島の果から南は長門の小串(こくし)の尖(さき)まで少しも平野に下り立たずして往来することができるのでありますが...
柳田国男 「山の人生」
...その後もおりおりそのほう共と往来するようすであるが...
山本周五郎 「新潮記」
...何がな作家の幻想をしきりに駆りたてられ、私の雑然たる書斎にも、そこはかとなく、当時の社会的な匂いや、人間像の群影が、机辺を往来する...
吉川英治 「随筆 新平家」
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