...丁度その午後の独逸語は成瀬が出席する番に当つてゐたから...
芥川龍之介 「あの頃の自分の事」
...それは勿論去来自身進んで事に当つたので...
芥川龍之介 「枯野抄」
...……お聞き、島へ着くと、元船(もとぶね)を乗棄(のりす)てて、魔国(まこく)とこゝを覚悟して、死装束(しにしょうぞく)に、髪を撫着(なでつ)け、衣類を着換(きか)へ、羽織を着て、紐(ひも)を結んで、てん/″\が一腰(ひとこし)づゝ嗜(たしな)みの脇差(わきざし)をさして上陸(あが)つたけれど、飢(うえ)渇(かつ)ゑた上、毒に当つて、足腰も立たないものを何(ど)うしませう?……」六「三百人ばかり、山手(やまて)から黒煙(くろけぶり)を揚げて、羽蟻(はあり)のやうに渦巻いて来た、黒人(くろんぼ)の槍(やり)の石突(いしづき)で、浜に倒れて、呻吟(うめ)き悩む一人々々が、胴、腹、腰、背、コツ/\と突(つつ)かれて、生死(いきしに)を験(ため)されながら、抵抗(てむかい)も成らず裸(はだか)にされて、懐中ものまで剥取(はぎと)られた上、親船(おやぶね)、端舟(はしけ)も、斧(おの)で、ばら/\に摧(くだ)かれて、帆綱(ほづな)、帆柱(ほばしら)、離れた釘は、可忌(いまわし)い禁厭(まじない)、可恐(おそろし)い呪詛(のろい)の用に、皆(みんな)奪(と)られて了(しま)つたんです...
泉鏡花 「印度更紗」
...彼の或態度に突当つた...
伊藤野枝 「惑ひ」
...廊下が室の壁に行き当つてそれが左右に別れてゐた...
田中貢太郎 「蟇の血」
...つぶてのやうな雨が横しぶきに凄じく当つた...
田山録弥 「島からの帰途」
...社会と個人との問題を解釈するに当つて...
田山録弥 「スケツチ」
...その空中に漂ふ大(だい)なる白雲(はくうん)は家屋樹木と共にこれらの図の布局をなすに当つて欠くべからざる要件の一となれり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...「註文帳」の作者が篇中その事件を述ぶるに当つて雪の夜を択んだことを最も巧妙なる手段だと思つてゐる...
永井荷風 「里の今昔」
...自分は谷崎氏ほど其の云はんとする処を云ふに当つて...
永井荷風 「谷崎潤一郎氏の作品」
...あれもこれもと当つてみてゐるやうな試みの域を脱しない...
南部修太郎 「現代作家に対する批判と要求」
...正にその故に吾々は原始人の心理がその経済的活動に倚憑することを証明するに当つて...
平林初之輔 「文学方法論」
...その村で山の神様の祭り日に当つて...
牧野信一 「途上日記」
...所謂気の利いたつかい道が見当つかず...
宮本百合子 「カメラの焦点」
...新居は旧居の西に当つてゐたが...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...此時に当つてわたくしは先づ一事を記して置きたい...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...此時に当つて天道革命論と云ふ一篇の文章が志士の間に伝へられた...
森鴎外 「津下四郎左衛門」
...出立に当つては各方面からの御紹介状も沢山頂き...
森律子 「三度會つた巡査」
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