...内的要求より出發するの抽象は愈具象性を強烈にするの作用である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...そのすうすうした感じがますます強烈になってゆくといった始末で...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...新しいパレットに押し出した絵の具のなまなましい光とにおいは強烈に昔の記憶を呼び起こさせた...
寺田寅彦 「自画像」
...強烈に過ぎはしないかと疑われる群青(ぐんじょう)と黄との対照...
寺田寅彦 「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」
...まず……」田山白雲は、馬上から砂地の滑らかなところを、これに何か描いてやりたいような気持でながめながら、駒井の論法を聞こうとしていると、駒井甚三郎は、前方の海をしきりに見向いて、「まず、法然と、日蓮とは、地位が違い、性格が違いますね」「性格の違うのはわかっているが、地位の違うというのは、どう違うのですか」「生活していた時の、社会的地位とでも言いますかな」「なるほど」「法然は、その生ける時代において、最大級の人格を誰にも認められておりましたが、日蓮の社会的地位は比較になりません」「そうでもないでしょう、あの通り強烈に、時の権威に抗し、一代に活躍した大人物の行為を、誰が認めなかったと言います」「それは、ある方面を騒がせたり、てこずらせたり、もてあまさしめた強烈なる行動は、その当時の相当の注意を惹(ひ)いたに相違ありませんが、その認められ方、注意の惹き方というのが、到底、法然上人のそれと、比較になるものではありません」「どうして」「法然上人という人は、その生ける時に、知恵第一ということを公認されておりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかし間近かの大雪田は、夏の高山特有の、暗いまで濃密な碧空と、強烈に境を劃す...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...お染への思慕が強烈になって行くのでした...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...ここにおいてほど痛切に強烈に自覺を促しつつ生の中心に迫り來る處はないであらう...
波多野精一 「時と永遠」
...あまりにも強烈に照りつけていた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「流刑地で」
...又落潮の時はその響強烈にして...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「うづしほ」
...これらがこんなに強烈に人の心に感動を与えるのは...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「早すぎる埋葬」
...強烈に笑い叫びたくなり...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「四日闇夜」
...私の復讐心は何故もっと強烈に燃え上らないのか? 私は実に自分が中気病みででもあるかの如く...
松永延造 「職工と微笑」
...四辺の光景は強烈に廃頽的になった...
宮本百合子 「九月の或る日」
...解釈者の精神が強烈であればあるだけ強烈に行われる...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...途方もなく強烈になつた...
吉川英治 「折々の記」
...強烈に身をもって追い求めようとする思慕のこころの実行的な能動性を看過せしめるおそれがある...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...この美この壮はもっとも強烈に霊を震※(しんとう)してそぞろに人生の真面目に想いを駛す...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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