...その強健な、物を物ともしない姿は夏の朝の気分としっくりそぐって見えたばかりでなく、その日に限って葉子は絵島丸の中で語り合った倉地を見いだしたように思って、その寛濶(かんかつ)な様子がなつかしくのみながめられた...
有島武郎 「或る女」
...君とお会いした時も、君のような人が――全然都会の臭味から免疫されて、過敏な神経や過量な人為的知見にわずらわされず、強健な意力と、強靱(きょうじん)な感情と、自然に哺(はぐく)まれた叡智(えいち)とをもって自然を端的に見る事のできる君のような土の子が――芸術の捧誓者(ほうせいしゃ)となってくれるのをどれほど望んだろう...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...精神共に強健なる小供が南洋を迂回して東洋に来り...
大隈重信 「現代の婦人に告ぐ」
...蟋蟀の太腿――強健なものは...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...この経済哲学は独創的で強健な首尾一貫性を有つにも拘らず...
戸坂潤 「読書法」
...其の頭腦精神の強健なる...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...彼の強健な胃袋は拷問にかけられたがようだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...強健なる性格が、昨日の枯死した包皮を、呼吸を妨ぐる古い魂を、荒々しく裂き捨てる、生長の発作の一つであった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...強健な民族の面影が感ぜられた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...不断の反動的な感情――強健な性質の人にあっては...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...この強健な土地のもっとも美(うる)わしい特質を汚す旅館の癩病(らいびょう)...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...部落の強健な男子が集って...
豊島与志雄 「「沈黙」の話」
...高貴とは生命力の強健なことを言うのだと...
豊島与志雄 「文学精神は言う」
...文化の普及者たる民衆は強健なる民衆でなければならない...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...それは何という根づよい強健なものでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...スバラシク強健な足の跳躍力とを一緒にして...
夢野久作 「一足お先に」
...これ等の強健な偉大な育くみ手であり...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...また虫に食われることのない強健な葉である...
和辻哲郎 「松風の音」
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