...しかし僕のマツチの火は存外強い風のために容易に巻煙草に移らなかった...
芥川龍之介 「海のほとり」
...ここしばらく非常に寒く強い風が吹いていた...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...破(やぶ)れ障子(しょうじ)に強い風が当ったような音をたてて彼は極(ご)く熱(あ)つのげんのしょうこを啜(すす)った...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...強い風をまき起しながら...
江戸川乱歩 「赤いカブトムシ」
...少し強い風が吹くと...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...やがて暑い日になって強い風がおさまった...
中勘助 「妹の死」
...「強い風じゃ、火をつけたらよく燃えるだろう」「でも、江戸を焼き払うほどの火にはなるまい」「それは地の利を計らなければ……先年、大楽(おおらく)源太郎と、地の利ではない、火の利を見て歩いたが、彼奴(きゃつ)、人の聞く前をも憚(はばか)らず、今夜はここから火を放(つ)けてやろうと、大声で噪(さわ)がれたのには弱った」「あれは、そそっかしい男だが、感心に詩吟が旨(うま)かった」「どうだ、ひとつ放(つ)けてみようか」「しかし、つまらん、江戸城の本丸まで届く火でなければ、放(つ)けても放け甲斐がごわせぬ、徒(いたず)らに町人泣かせの火は、放けても放け甲斐がないのみならず、有害無益の火じゃ」「有害無益の火――世に無害有益の放火(つけび)というのもあるまいが」「では、通りがかりの道草に、いたずらをしてみようか」「地の利と、風の方向を考え、且つ、なるべくは貧民の住居に遠く、富豪の軒を並べたところをえらんで……」「面白かろう」さても物騒千万ないたずらごと...
中里介山 「大菩薩峠」
...よく雪やみぞれをまじえた強い風が吹いた...
中谷宇吉郎 「私のふるさと」
...強い風が一しきり窓ガラスをばたばたといわせて通った...
浜尾四郎 「正義」
...逆のほうから強い風が吹きだして端艇をおし戻した...
久生十蘭 「海難記」
...横や前から強い風が吹いてきても...
三好達治 「測量船」
...二階では稀(まれ)に一しきり強い風が吹き渡る時...
森鴎外 「心中」
...潮の匂(にお)いのする強い風に吹かれながら...
山本周五郎 「青べか物語」
...強い風と流れに身を託して...
山本周五郎 「青べか物語」
...かなり強い風といっしょに...
山本周五郎 「風流太平記」
...強い風が雪を叩きつけ...
山本周五郎 「風流太平記」
...よく晴れた朝で、庭の樹立の若葉が、初夏の陽ざしを斜めに受け、やや強い風に、ひらひらと光って見えた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...ほかの土地より何十倍も強い風が吹きまくる...
吉川英治 「三国志」
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