...あの人は弱虫で、とても勇気がない...
...弱虫だから、そんな危ないことはできない...
...大人になっても、弱虫のままだった...
...彼女は弱虫ではなく、いつでも自分の言葉を貫く強さがある...
...弱虫をバカにする言葉は使わないように...
...マルタ犬(いぬ)は一名を獅子犬と呼ばれてゐるが名ばかり立派でからもう弱虫な怯(けち)な奴だ...
内田魯庵 「犬物語」
...見かけによらない弱虫の大佐どのだ」隊員たちは...
海野十三 「太平洋魔城」
...「大きな男のくせして、弱虫ねえ...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...この弱虫の私が、存外平気で兄を殺し得たのは、一つはそういう憎悪の感情があったからなのだと思います...
江戸川乱歩 「双生児」
...弱虫は、幸福をさえおそれるものです...
太宰治 「人間失格」
...弱虫のぼくは醜く...
田中英光 「さようなら」
...女にも敵わない弱虫ですかって...
豊島与志雄 「林檎」
...弱虫はみんなちやんちやん坊主にされて首を斬られてゐる...
中勘助 「銀の匙」
...それだけに、厳(おご)そかな天の荒ら息吹(いぶき)を真向にうけるのだから、弱虫やなまけ者、卑劣漢や臆病ばらには、とうてい辛抱しきれるものではあるまい...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...学校にての出来ぶりといひ身分がらの卑(いや)しからぬにつけて然(さ)る弱虫とは知る者なく...
樋口一葉 「たけくらべ」
...三五郎は居るか、一寸來くれ大急ぎだと、文次といふ元結よりの呼ぶに、何の用意もなくおいしよ、よし來たと身がるに敷居を飛こゆる時、此二タ股野郎覺悟をしろ、横町の面よごしめ唯は置かぬ、誰れだと思ふ長吉だ生ふざけた眞似をして後悔するなと頬骨一撃、あつと魂消て逃入る襟がみを、つかんで引出す横町の一むれ、それ三五郎をたゝき殺せ、正太を引出してやつて仕舞へ、弱虫にげるな、團子屋の頓馬も唯は置ぬと潮のやうに沸かへる騷ぎ、筆屋が軒の掛提燈は苦もなくたゝき落されて、釣りらんぷ危なし店先の喧嘩なりませぬと女房が喚きも聞かばこそ、人數は大凡十四五人、ねぢ鉢卷に大萬燈ふりたてゝ、當るがまゝの亂暴狼藉、土足に踏み込む傍若無人、目ざす敵の正太が見えねば、何處へ隱くした、何處へ逃げた、さあ言はぬか、言はぬか、言はさずに置く物かと三五郎を取こめて撃つやら蹴るやら、美登利くやしく止める人を掻きのけて、これお前がたは三ちやんに何の咎がある、正太さんと喧嘩がしたくば正太さんとしたが宜い、逃げもせねば隱くしもしない、正太さんは居ぬでは無いか、此處は私が遊び處、お前がたに指でもさゝしはせぬ、ゑゝ憎くらしい長吉め、三ちやんを何故ぶつ、あれ又引たほした、意趣があらば私をお撃ち、相手には私がなる、伯母さん止めずに下されと身もだへして罵れば、何を女郎(ぢよらう)め頬桁たゝく、姉の跡つぎの乞食め、手前の相手にはこれが相應だと多人數(おほく)のうしろより長吉、泥草鞋(ざうり)つかんで投つければ、ねらひ違はず美登利が額際にむさき物したゝか、血相かへて立あがるを、怪我でもしてはと抱きとむる女房、ざまを見ろ、此方には龍華寺の藤本がついて居るぞ、仕かへしには何時でも來い、薄馬鹿野郎め、弱虫め、腰ぬけの活地(いくぢ)なしめ、歸りには待伏せする、横町の闇に氣をつけろと三五郎を土間に投出せば、折から靴音たれやらが交番への注進今ぞしる、それと長吉聲をかくれば丑松文次その余の十餘人、方角をかへてばら/\と逃足はやく、拔け裏の露路にかゞむも有るベし、口惜しいくやしい口惜しい口惜しい、長吉め文次め丑松め、なぜ己れを殺さぬ、殺さぬか、己れも三五郎だ唯死ぬものか、幽異(いうれい)になつても取殺すぞ、覺えて居ろ長吉めと湯玉のやうな涙はら/\、はては大聲にわつと泣き出す、身内や痛からん筒袖の處々引さかれて背中も腰も砂まぶれ、止めるにも止めかねて勢ひの悽まじさに唯おど/\と氣を呑まれし、筆やの女房走り寄りて抱きおこし、背中をなで砂を拂ひ、堪忍をし、堪忍をし、何と思つても先方は大勢、此方は皆よわい者ばかり、大人でさへ手が出しかねたに叶はぬは知れて居る、夫れでも怪我のないは仕合、此上は途中の待ぶせが危ない、幸ひの巡査(おまはり)さまに家まで見て頂かば我々も安心、此通りの子細で御座ります故と筋をあら/\折からの巡査に語れば、職掌がらいざ送らんと手を取らるゝに、いゑ/\送つて下さらずとも歸ります、一人で歸りますと小さく成るに、こりや怕い事は無い、其方の家まで送る分の事、心配するなと微笑を含んで頭(つむり)を撫でらるゝに彌々ちゞみて、喧嘩をしたと言ふと親父(とつ)さんに叱かられます、頭(かしら)の家は大屋さんで御座りますからとて凋(しを)れるをすかして、さらば門口まで送つて遣る、叱からるゝやうの事は爲ぬわとて連れらるゝに四隣(あたり)の人胸を撫でゝはるかに見送れば、何とかしけん横町の角にて巡査の手をば振はなして一目散に逃げぬ...
樋口一葉 「たけくらべ」
...學校にての出來ぶりといひ身分がらの卑しからぬにつけても然(さ)る弱虫とは知る物なく...
樋口一葉 「たけくらべ」
...我れ弱虫のたぐひには有るまじきが...
一葉 「暗夜」
...俺は今までどうしてあんなに弱虫で卑屈だったのか...
火野葦平 「糞尿譚」
...貴様たちは夫婦共揃って弱虫だな...
夢野久作 「豚吉とヒョロ子」
...弱虫で、そゝつかしやの次郎作は、独りで働いてゐるのが愈々(いよいよ)心細くなつて、一本の鼻毛を刈つては、合図に鼻の障子をたゝき、一つ垢をほぢつては、又合図をしました...
宮原晃一郎 「漁師の冒険」
...お前のイノチも、お前のあんだけの気持も、かけがえのない、貴重なものだったんだ! それを、それを、なんてえ、まあ! ケッ!……そう、弱虫だ...
三好十郎 「胎内」
...それをまだ芸も身体もコンマ以下の弱虫が着るのですから...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
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