...葉子はパラソルを杖(つえ)に弱々しくデッキを降りて...
有島武郎 「或る女」
...大人の首が幼児の身体に乗っている所は普通の一寸法師であったが、見世物などで見かけるのと違って、非常に弱々しく、くらげの様に手足に力がなくて、歩くのも難儀らしく見えた...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...人のいい父親と弱々しく情愛の深い母親とを持ったこの身は...
田山花袋 「田舎教師」
...商売女でもない奈世に手管(てくだ)を求めるのも無理とは知っているし、わしだけしか知らぬ奈世に男と女の歓びを、顔や体に現わすように要求するのも、これ又、無理なことではあろうけれど、他の女達はそうでもなかったのに、奈世だけは不思議に眉一つ、頬一つ崩さず、白い顔を斜めに向け眼を軽く閉じたまま、しんと静まりかえって、やがて、弱々しく、わしが身を引くまで、冷酷な商売女か、人形の様に身を任かせて居た...
富田常雄 「面」
...弱々しく悲しそうに見えた...
豊島与志雄 「朝やけ」
...全体が弱々しくまた同時に恐ろしい生物で...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...弱々しくてつまらぬ手ということもできた...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...はるかに高いところにいるので弱々しく...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...恐らく自然な人間性に鑑みれば、彼は真に謙虚であったり、自分が弱々しく、冷淡に扱われる故にひどく苦しんでいるのだから、皆で支えてやらなければならない人なのだ...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...舌病(ぜつびやう)に罹つた雛(ひよ)つ子の翼のやうに弱々しくつて...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...何故なら弱々しくはなかつたから...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...アレクシス大尉とこの紳士が随行します」国王が弱々しく抗議した...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...「ご心配をかけまするな」と彼は弱々しく云った...
本庄陸男 「石狩川」
...」と、彼は、弱々しく呟いだ...
牧野信一 「鏡地獄」
...実に迷惑だな――」「何ういふわけか――」と彼は益々弱々しく首垂れるばかりだつた...
牧野信一 「病状」
...三人弱々しく笑ふ...
三好十郎 「疵だらけのお秋(四幕)」
...今出来のものは輪をかけて弱々しく不自然である...
柳宗悦 「北九州の窯」
...弱々しく躊(ため)らいがちな...
山本周五郎 「つばくろ」
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