...普段通りの声でしゃべっている――多少弱々しいかもしれないが...
東健而訳 大久保ゆう改訳 「瀕死の探偵」
...弱々しい身体で大きな頭を支えているのがやっとであった...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...あたりの闇へ実に弱々しい金色の明りを投げているのであるが...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...彼の気に入らなかったのは彼女の蒼白さ、むかしはなかった表情、弱々しい微笑、それから声だったが、しばらくすると今度はもうその衣裳も、彼女のかけている肱掛椅子(ひじかけいす)も気にくわなくなり、すんでのことで彼女をもらうところだった過去の記憶にも何やら気にくわぬものが出来てきた...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...弱々しい力のない声をして...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...はるかな黎明(れいめい)の弱々しい明るみは...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...何となく弱々しい...
豊島与志雄 「食慾」
...痩せた弱々しい身体付のせいもあって老けて見える...
豊島与志雄 「慾」
...佐治君が其弱々しい痩躯を靜に運んで來ると今井君の態度が急に改まつて畢ふ...
長塚節 「教師」
...あの通り弱々しい人ですから」「お冬には縁話でもなかつたのか」「まだ十八ですもの」そんな言葉の一つ/\に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...いかに大根(おおね)がなくて弱々しいのかと笑っていたけれども...
林芙美子 「新版 放浪記」
...僕は不安定なゴム底靴で弱々しい姿勢をピンと張りあげようとする...
原民喜 「魔のひととき」
...肉體の弱々しいのと同じく...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...自分より二寸ほど低いところにある女の瞳を男はいかにも弱々しい目つきをしてながめた...
宮本百合子 「お女郎蜘蛛」
...君はどうするの?須永 どうすると言いますと?私 その――これからさ?須永 これからと言いますと? 別に僕あ――(虚脱したように弱々しい眼で...
三好十郎 「冒した者」
...女に平生よりも弱々しいふうの見えるのを...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...やおらモーニングの巨体を起して眼の前の安楽椅子に旅行服のままかしこまっている弱々しい禿頭(とくとう)の老人の眼の前にその号外を突付けた...
夢野久作 「人間レコード」
...エキゾチックではあるが何か灰色の哀感とそして弱々しい明治世代の訴える“うたごえ”も持たなかった細民たちの無数の顔が...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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