...再び自分といふものを引き立てることが出來た...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...お邸の方の下男にお引き立てくださったのも...
大阪圭吉 「幽霊妻」
...許宣が捕卒に引き立てられて入ってきたのを見てびっくりした...
田中貢太郎 「雷峯塔物語」
...御前におりました若殿原(わかとのばら)が早速引き立てゝ参りました...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...どうでも引き立てて外側へ向け直してやる事が自分の務めのように思っていたので...
寺田寅彦 「亮の追憶」
...気遣(きづか)わしそうに店の方へ耳を引き立てていた...
徳田秋声 「足迹」
...何分お引き立てを――」「山木君(さん)...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...国務大臣で当時のパリーの警視総監をしていたアングレー伯の秘書官シャブーイエ氏の引き立てで...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その手を持ってギュウギュウ引き立て...
中里介山 「大菩薩峠」
...その襟髪(えりがみ)を取って引き立てたのは幸内であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...七兵衛は、百蔵を引き立て、その方へ急ごうとすると、がんりきはなぜか、あんまり進まない面(かお)をして、「普請場とやらへは、兄貴一人で行っちゃあもれえめえか」「ナニ、おれに一人でやれというのか」「俺らは、どうもそっちの方は気が進まねえことがあるんだ」「ハテな」「実は、扇屋でいま見つけ物をして来たから、その方が心がかりになって、金なんぞはあんまり欲しくもなくなったのさ」「おやおや」「そういうわけだから、兄貴一人で普請場へ行って当座の稼ぎをして来てくんねえ、俺らは俺らで自前の仕事をしてみてえんだ」「この野郎、扇屋の女中部屋の寝像(ねぞう)にでも見恍(みと)れて、またよくねえ了見(りょうけん)を出したとみえるな、世話の焼けた野郎だ」「まあ、いいから任しておいてくれ、兄貴は兄貴で兵糧方を持ってもらいてえ、俺(おい)らは俺らで、これ見たかということを別にして見せるんだ」「また、笹子峠のように遣(や)り損(そく)なって泣面(なきつら)をかかねえものだ」「ナニ、あの時だって、まんざら遣り損なったというものでもねえのさ、それにあの時は相手が相手だけれど、今夜のは、たった一人ほうりっぱなしにしてあるのだから、袋の中の物を持って来るようなものだ」「まあ、よせと言ってもよすのじゃあるめえから、手前の勝手にしてみるがいい、懲(こ)りてみるのも薬だ」「有難え」二人で一緒に仕事をするはずであったのが、ここで二つに分れて仕事をすることになります...
中里介山 「大菩薩峠」
...こんな腕つきで引き立てられて歩いたのを見た者もある...
中里介山 「大菩薩峠」
...お園を引き立てました...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...王(きみ)の御前に引き立てけり...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...そこで私はともすれば滅入りそうな自分の心を引き立てようとして...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...未熟ではあるがどうか引き立ててくれと師匠はくどくど頼んだのち...
正岡容 「小説 圓朝」
...特に自分を引き立て要職につけてくれた人々...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...簡素な食器と共に台所を引き立てていた...
柳宗悦 「全羅紀行」
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