...廃残の御隠居、とでもいふのかしら、あなたのやうなよぼよぼの御老体は、かへらぬ昔の夢を、未来の希望と置きかへて、さうしてご自身を慰めてゐるんだわ...
太宰治 「お伽草紙」
...廃残(はいざん)である...
太宰治 「花燭」
...すべて廃残の身の上である...
太宰治 「座興に非ず」
...国民学校の先生になるという事はもう、世の中の廃残者、失敗者、落伍者(らくごしゃ)、変人(へんじん)、無能力者、そんなものでしか無い証拠だという事になっているんだ...
太宰治 「春の枯葉」
...謂わば、廃残の身である...
太宰治 「火の鳥」
...謂はば、廃残の身である...
太宰治 「火の鳥」
...世間に対する不平と諦めとの中にある廃残者だった...
豊島与志雄 「黒点」
...家の中に青年の面影がほしいと祖父が漠然(ばくぜん)と感じているに違いない場合なので――青年という曙(あけぼの)は廃残の老人にとっては往々快いものである――別のマリユスを見いだすのに好都合だった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...雨は強く強く地上の廃残を敲(たた)いた...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...地上の廃残の物は勿論穴倉の底の物まで...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...廃残の彼女にはほんに相応(ふさわ)しいことだと思った...
長谷川時雨 「芳川鎌子」
...見る影もない廃残の身からは日毎(ひごと)に何ものかが喪(うしな)われて行った...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...この廃残の古塔を見上げるのは淡く哀しいやうな一種の快さであつた...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
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