...僕はいつか西廂記(せいそうき)を読み...
芥川龍之介 「点鬼簿」
...廂は縦に、壁は横に、今も屋台は浮き沈み、危(あやう)く掘立(ほったて)の、柱々、放れ放(ばな)れに傾いているのを、渠(かれ)は何心なく見て過ぎた...
泉鏡花 「悪獣篇」
...軒も廂(ひさし)もまだ雫をしないから...
泉鏡花 「薄紅梅」
...廂の出張った店があって...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...雨の音が庭木や廂に...
徳田秋聲 「草いきれ」
...彼はやがて其竹竿を入口の廂へ立て掛けてぼんやりと立つて此の掛合の後半を聞いた...
長塚節 「芋掘り」
...おすがの家は煙がこもつて其煙が廂を傳はつて靜かな夜の中へ彷徨つて行く...
長塚節 「芋掘り」
...家の屋根は草葺で厚い廂が二階の窓へ覗き込んで居た...
長塚節 「開業醫」
...廂を掩うて居る桐の木がもう落葉して居るので其落葉へ雨はばしや/\と打ちつける...
長塚節 「隣室の客」
...その頃(ころ)は二階の廂(ひさし)から六尺に余るほどの長い葭簀(よしず)を日除(ひよけ)に差し出して...
夏目漱石 「思い出す事など」
...廂が深く突き出てゐるせゐか部屋の中が暗かつた...
林芙美子 「風媒」
...廂(ひさし)をのぞきこんだり...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...屋根廂(やねびさし)のあわいから...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...廂を打つ雨の音がひっそりと聞える...
山本周五郎 「日本婦道記」
...茅葺(かやぶ)きの廂(ひさし)の深い造りで東から南へ縁側をまわし...
山本周五郎 「日本婦道記」
...――と、両探題からの報は、今にも、鎌倉の廂に、咒法の火が燃えつきでもしそうな急を文書に叫んでいたのであった...
吉川英治 「私本太平記」
...小雨をもった烈風が蔀(しとみ)や廂(ひさし)を吹きなぐり...
吉川英治 「私本太平記」
...破(や)れ廂(びさし)を打つので...
吉川英治 「山浦清麿」
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