...それとも地底深いせいか...
海野十三 「地底戦車の怪人」
...小さな底深い可愛いい眼が...
豊島与志雄 「最近の菊池寛氏」
...怪しい底深い所から来る戦慄が私の全身に伝わった...
豊島与志雄 「生と死との記録」
...幾度となく誓われた信念の後にもなお底深い所から上って来て二人を距てようとする淋しいもの...
豊島与志雄 「蘇生」
...或る隠秘な仄かな底深い気持に陥っていく...
豊島与志雄 「父母に対する私情」
...ごーッごーッと底深い唸(うな)り声を立て始めました...
豊島与志雄 「夢の卵」
...人の思考力がいかに底深い所につき落とされているか...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...しかしその響は幽谷に獅子(しし)の吠(ほ)えるような底深いものではないので...
永井荷風 「監獄署の裏」
...冷くて底深いラインの流れが悠々と流れてゐるやうに空想された...
林芙美子 「就職」
...底深い人間心理がそこにきびしく漂つてゐるやうで...
正宗白鳥 「心の故郷」
...同じ底深い画面の黒さにしろ...
宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
...底深い地下水として持っている「他に対するケンソンな愛」が彼女の作品に欠乏して...
三好十郎 「恐怖の季節」
...眼の底深い男が立っていた...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...海のような底深い喧騒にかぶさり...
山川方夫 「昼の花火」
...天の涯(はし)までも支配されているので御座います」妾はハラムの底深い声の魅力に囚われて...
夢野久作 「ココナットの実」
...そうして大浪(おおなみ)を打つ患者の白いタオル寝巻の胸に、ムクムクムクと散り拡がって行く血の色を楽しむかのように、紅友禅の長襦袢の袖を、左手でだんだん高くまくり上げて、白い、透きとおるような二の腕を、力一パイにしなわせながら、ジロリジロリと前後左右を見まわしていたが、やがて眼の前の逞ましい胸が、一しきりモリモリモリと音を立てて反(そ)りかえって来たと思う間もなく、底深い、血腥(ちなまぐさ)い溜息と一所に、自然自然とピシャンコになって行くのを見ると品夫は、白い唇をシッカリと噛み締めたまま眼を細くして、メスを握り締めている自分の手首を凝視した...
夢野久作 「復讐」
...やがて凄じい渦となつて底深い岩の龜裂の間を轟き流れてゆく...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...やがて凄じい渦となって底深い岩の亀裂の間を轟き流れてゆく...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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