...たかが相手は一人の娼婦に過ぎないのに、もう二度と行かないの何のと云うむずかしい決心をして、それに囚(とら)われるのも馬鹿々々しいと云う風に思い直しては、結局会いに行くことになるのが常であったが、実はそんなことにも増して、妻が出かけて行ったあとの邸の中のガランとした感じ、―――障子や、襖(ふすま)や、床の間の飾りや、庭の立ち木や、そう云うものが有るがままにありながら、俄(にわ)かに家庭が空虚にされてしまったようなうら淋しさ、―――それが何より堪え難かった...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...床の間の飾り物ではない...
柳宗悦 「工藝の道」
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