...広海屋(ひろうみや)を謀師とした...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋をのぞいては...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...お城重役が申されていたか――」広海屋の...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...世間さまの、評判をいただいた上、大金もうけも出来るというので、このところ、広海屋万々歳――そなたには、どれほど礼をいっても足りませぬ」雪之丞は、しかし、ため息を吐いて、「とは申せ、米価騰貴(とうき)をお見越しになり、商(あきな)いをなされておいでだとうけたまわる、長崎屋さまにはさぞ、お手傷でござりましょう――わたくしは、あのお方にも、一方ならず肩入れをいただく身、今更、何となく、申しわけない気がいたしまする」と、わざと、しおれて見せると、広海屋が、きっぱりとした表情になって、「その辺は、わしも考えて見ましたが、長崎屋が江戸の人々の困難をつけ目に、すわこそと、安く仕込んだ米に十二分の利得をみせて、只今の高売りをいたしておるは、どこまでも、人の道にはずれたはなし――わしもあれとは、仲の良い友達だが、また、今度のうめ合せは、あとでいたして上げられもしましょうゆえ、この場合は、世間さまの御便利をはかるが、何よりと思ったでな――ま、そのようなことは、わしにまかして置きなさい――なんの、そなたが、長崎屋一人を贔屓のかずから失おうと、わしがついている限りは、大船に乗った気で、安心していて貰いたい――ときに、今夜こそは、前祝いに、これから、吉原(なか)へ、是ッ非、一緒にいって貰いたいな」ポンポンと手を鳴らして、「末社どもに用談すんだと申してくれ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...それゆえ、二人とも、浅間しい慾望の一部を成し遂げて、ともども、江戸にまで進出して来て、世間から、認められるようになったのちも、長崎屋は、広海屋を、どこまでも、先輩、上座(じょうざ)として、表面に立てていたのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...――もしや、もう、お初の奴が、何か小細工をやりはじめたのじゃあねえか知ら? いかに素早い奴でも昨夜の今日では、意趣がえしの法もつくめえが――もっとも、お客と、ちょいと付き合って、じきに戻ると、男衆を通じてことづてもあったことだ――もう少し、辛抱して見ようと、心を強いて落ちつけて見もしたが、自分が待っているということを、忘れるような相手ではないので、あまりに時刻が経つと、気が気でなくなるばかり――階下(した)の小部屋に泊っている男衆を呼んで、呼ばれた先きは、どこだ? ――と、たずねると、客は広海屋で、茶屋は、柳ばしのろ半だという答――「じゃあ、まち切れねえから、こっちからろ半へ出かけて見ましょう――入れちがいになったら若親方に、寝ずに待っているように言って下さい――すぐ引っかえして来ますから――ぜひに今夜中、話して置きたいことがあるのでしてネ」彼は、男衆にそう頼んで、辻かごで、柳ばしへ急がせて行った...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋、長崎屋、商いの道で自滅する...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...しっかりせい! そなたも広海屋ほどのものの女房――高が...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...ざまを見ろ! 広海屋が...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...仇をかえさずには置かぬ男じゃぞ!」広海屋夫婦の...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「何奴(どいつ)だ! 手めえは?」と、気早やな鳶(とび)の者が一人、この気味の悪い闖入者(ちんにゅうしゃ)の方へ飛んで行ったが、手にした匕首――しかも血みどろなのを眺めると、「わあッ!」と、叫んで、あとじさりをして、「貴さまあ、人を殺して来たな!」「ふ、ふ、ふ、ふ――おのれ等に用はない――広海屋に逢いに来たのだ――」三郎兵衛の、皺枯れた声――番頭が、広海屋を、押しへだてるように、「旦那、あっちへまいりましょう――血のついた短刀を、あの変な奴は持っているようで――あぶのうございます」「それでは、浜川の旦那を殺(や)ったのはあいつだな――」と、一人が、口走ると、「ナニ、浜川さまがどうなされた?」と、狂奮の中にも、広海屋が訊ねる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「長崎屋どの! 三郎兵衛どの! この広海屋一家に対して、どのようなお恨みを持っておいでかは知りませぬが、あの子には罪はない! あの子が、悪さをする筈がない! あの子をお返しなすって下さいまし、家も惜しくはありませぬ! この、わたしが、殺されようと、助かろうと、それもかまいませぬ! あの子だけを、お返し下さいまし!」「は、は、は! 泣きおるわ! わめきおるわ! うらみがあったら、そこにおる広海屋に言え! 亭主に言え!」と、こんな言葉だけは、すじが立つことをいって、長崎屋は、ふたたび、ゲラゲラ笑いになって、目をあげて、闇空を焦す炎が、大波のように、渦巻き、崩れ、盛り上り、なびき伏し、万態の変化の妙をつくしつつ、果しもなく、金砂子(きんすなご)を八方に撒き散らすのを眺めながら、「ほほう、ほほう、黄金の粉が、空一めんにひろがって行くぞ! 広海屋、見ろ、おぬし一代の栄華、贅沢(ぜいたく)――日本一の見物(みもの)じゃぞ! すばらしいのう! これを見ながら一ぱいはどうじゃ! 酒を持って来い! は、は、酒肴(しゅこう)の用意をととのえろ! ほほう! ほほう! 何ともいえぬ眺めじゃなあ」「おのれ、何をぬかすぞ! それ、この人殺し、火つけの罪人、早う、お役人を呼んで――」と、番頭の一人が、手代どもにいうのを、フッと、何か、思い当ったような広海屋、狂奮の中にも、キラリと、狡く目をはたらかせて、「待った! お役人衆に、このことを、お知らせするのは、まあ、待った!」「じゃと、申して、みすみす、この科人(とがにん)を――」「待てと言ったら!」と、止めて広海屋は、手鉤(てかぎ)を持った出入りの鳶(とび)に、「おぬし達、この長崎屋を、くくり上げて、ソッと、土蔵の中へ、入れて置いてほしい」「でも、お役人のお叱りをうけては――」「よいと申したら――気が昂ぶっているによって、落ちついてから、わしが、必ず自首させる――さあ、あまり、人目に立たぬうち――」広海屋はセカセカしくいった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋は、ガクガクと、全身を悪寒(おかん)に震わせずにはいられなかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋一家の手に戻してやる気にはなれなかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋の、仮宅の前にたたずんだが、――変だぞ!と、小くびが、かたむいて、――何も聴えねえ――それに、表が、こんなにきびしく閉っているところを見りゃあ、なみのやり方で、訪ねて来たわけじゃあねえな――うすらわらいが、唇にうかんだが、それから、軒下をはなれて、店に沿って、ぐっと河岸にまわると、塀になる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...二三跟(つ)け人は、いかにもせよ、闇太郎は、広海屋、焼け残りの、倉つづき――その一ばん端の土蔵の方を目がけて、まるで、足裏に毛の無い、夜のけもののように、ツウ、ツウと、伝わってゆく...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...印度(いんど)辺で菓物の王と称せらるるマンゴーも新鮮なのを食べられますし」広海子爵「オヤあの有名なマンゴーが内地にありますか...
村井弦斎 「食道楽」
...愛慾の広海(こうかい)に溺れ...
吉川英治 「親鸞」
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