...広海氏は言つた...
薄田泣菫 「茶話」
...」と広海氏は少し(むつ)とした...
薄田泣菫 「茶話」
...広海屋(ひろうみや)を謀師とした...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「ええ、もう、大したお讃(ほ)めで――」と、雪之丞は唆(そそ)り立てて、「その上、わたくしにはわかりませぬが、何か、よほどむずかしげなお噂(うわさ)もありましたようで、あなたさまについてのお話ゆえ、一生懸命理解いたそうといたしましたが、くわしゅうはのみ込めませず、残念に存じました」「わが身についての、むずかしい噂――」広海屋は緊張して、「気にかかるな? 何事か聴かしてくれ」一二雪之丞は、広海屋が、こちらの口車に乗せられ、ぐんと乗り出して来るのを、浅間(あさま)しいものに眺めながら、「只今も申しますとおり、わたくしなぞには、良く、呑み込みのいかないお話でござりましたが、何でも、貴方(あなた)さまが、一決心なされました、お持米(もちまい)とやらを、東(あずま)におまわしになりませば、大したことになるであろう――と、いうようなことを、しきりに仰有(おっしゃ)ってござりました」「何と?持米(もちまい)を東に廻す!」広海屋はするどい目つきになって、「それは、どんなわけなのか?」「わたくしが伺いましたところでは、あなたさまは、海産物とやらばかりではなく、上方、西国で、沢山にお米を買い蓄(た)めておいでなそうで――」雪之丞が、相手をみつめると、「ウム、いかにも――」と、広海屋は、いくらか得意そうにうなずいて、「何百万石という米を、実は妙なゆきがかりから、去年この方手に入れたところ、今年の東の凶作(きょうさく)――もうしばし持ちこたえていたら、莫大(ばくだい)な利得が生まれようとまずたのしみにしている次第だ」「お武家さまたちの仰せでは、そのお米を、あなたさまが、男なら、一度に江戸にお呼びになり、こちらの米価とやらを、一朝に引き下げておしまいになると、お名前が上下にぱッと輝くばかりか、関東米相場の神さまにもお成りになり、一挙に、江戸一の勢いをお示しになれるに相違ないに、何をためらっているのであろう――やはり、町人と申すものは、目前のことにのみ、心を引かれて、大きな企(もくろ)みが出来ぬと見える――と、まあ、あの方々でござりますから、そんな無遠慮なことも仰(おお)せられておりました」「ふうむ――その方々が、そのように仰せられていたか? ふうむ」と、広海屋は、腕を組んで、伏目をつかって、「この広海屋が、男なら、上方西国の手持ちの米を、思い切って東(あずま)に呼び、江戸市中の米価を引き下げ一時の損をして、未来の得を取るべきだ――と、つまりはそんなことをいわれていたのだな?」「いかにも左様で――その暁には、上つ方のお覚えよくなるは勿論(もちろん)、江戸の町人で、あなたさまに頭のあがるものもなくなるであろうに――と、まで仰せになりましたが――」「ううむ、成るほどなあ、御もっともなお言葉だ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...二十年の仲じゃ――そなたの仕合せをこそいのれ――」広海屋が...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋の皮肉な笑がおと...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...長崎屋は噛みつくような表情になって、「広海屋さん、おぬしは、長崎以来のことを忘れたかな?」その一語は、広海屋よりも、まず雪之丞の胸を激しく突き動かしたに相違なかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...一五「そなたを殺す? 殺したとて、わしに何の役に立とう――まず、気を鎮(しず)めたがよいと申すに――」と、広海屋は、長崎屋がつかみしめた袖を、振りはらって、「そなたは、ちと、気がどうかしたそうな!」「気も狂おう! 二十年の、苦労、艱難(かんなん)、おぬしのために滅茶滅茶じゃ――覚えておれ――どうするか!」長崎屋は、ズイと立って、荒々しい足どりで、広間を出て、そのまま、階下に下りてしまったが、荒れすさんだ気色を見て、茶屋を出てゆくのを、引き止めるものもないらしかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...言わば親友の広海屋の詐略(さりゃく)のために...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...現に主人たちの密室から、廊下を隔てた一間に、うない児を抱き寝していた乳母さえ、前後をいかに忘失したとはいえ、当の長崎屋に、この一家に取っては、何ものにも変えがたい一人息子の赤児を渡してしまっている位ではないか!そんなわけで、広海屋は、闇を辿りつつも、まだ、心のどこかで高をくくっていた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「そうか――それはよかった」まず、焼き殺されぬということが、わかったので、広海屋が、ホッとしたようにいう...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋の袖をつかんで...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...一四広海屋、その人までが、わが子の失踪(しっそう)に、平生の落ちつきをなくして、何やら、荒々しく、癇癪(かんしゃく)ごえで叫び立てているのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋の赤んぼう――――やあ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋につかみかかる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海子爵主人の奇言に驚き「中川さん...
村井弦斎 「食道楽」
...あれなぞは石油を持って行くとコロコロ落ちます」広海子爵「早速造らせます...
村井弦斎 「食道楽」
...とにかく第一の発会を広海子爵の邸内で開いて食道楽会の模範を天下に示したいと思う」小山「それは僕も大賛成だ...
村井弦斎 「食道楽」
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