...その恩を忘れて広海屋と心を合せ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...人間はそう無(の)うてはならぬ」と、広海屋は、ますます膝を乗り出して、「今も、冗談のように言ったことだが、あの御息女が、一目そなたを見て恋い焦がれ、一身一命さえ忘れかけていることは、この長崎屋さんが、見抜いた通りに相違ない...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「うれしいな、広海屋さん」と、長崎屋は、そそるようにいって、「これだから――このわかりのよさゆえ、浪路どのばかりではなく、男のわたし達も惚(ほ)れ込まずにはいられぬのじゃ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...のう、広海屋さん、お前とても、一時は、店の大戸を下ろさねばならないような羽目になったこともありましたな?」「そうそう」と、広海屋は、昔の零落を語るのさえ、今の身の上になった以上は、それも誇りの一つであるように――「店の大戸を下ろすはおろか、借財に追いつめられて、首をくくろうとしたこともありましたがな――それも、これも、みんな夢物語になってくれましたで――ハ、ハ、ハ」「今だから、何もかもいえるのだが、その頃このわしは、広海屋さんと同業の、手がたい見世(みせ)の奉公人でありましたのさ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「はて、それにしては、いぶかしい――おぬしは、わしという人間がそなたの友達の一人でいるのをすっかり、忘れておしまいになっていると思いましたよ」長崎屋は、広海屋とは、言わば振り出しの分際(ぶんざい)が違っていた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...それゆえ、二人とも、浅間しい慾望の一部を成し遂げて、ともども、江戸にまで進出して来て、世間から、認められるようになったのちも、長崎屋は、広海屋を、どこまでも、先輩、上座(じょうざ)として、表面に立てていたのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...腹の中では、いつか雪之丞に打ち明けた通り、広海屋を、乗り越そう乗り越そうと計っているのではあったが――されば、呼びかけの名にしても――――広海屋さん――とか、――お前さま――とか、――こなた――とか、いうような言葉を使って、ついぞ、長崎屋の口から、――おぬし――なぞという、ぞんざいな言葉が洩れたことはなかったのである...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...「その手一ぱいの買いしめが、これまでは図星に当って、たとえ世の中からは、何といわれようと、この分で、あきないが続くことには、長崎屋の世帯も、その中(うち)には、倍にはなる――と考えていたところへ、おぬしの今度の采配(さいはい)――関東の凶作に引きかえて、九州、中国にだぶついている米が、どうッと潮のように流れ込んで来たならば、わしの思わくは丸はずれ――これまでの儲けを吐き出すはおろか、長崎屋の、財産(しんだい)を半分にしてしまっても、まだ帳尻はうまるまい――なあ、広海屋さん、おぬしだとて、このわしと、まるまる赤の他人でもない筈だ、昔のよしみで、ここのところを、何とか一思案して貰われまいか――」と、長崎屋はきつくいって、また悄(しお)れて、「もう、こうなっては、恥も、外聞もない――長崎屋、こうして、この色ざとで、そなたの前に手を突くゆえ、どうぞひとつこのわしを、助けてはくださらぬか?」必死のいろをうかべて、畳に、手を下ろそうとするのを、広海屋は押し止めて、「何をなさる長崎屋さん、そなたは、何か思いつめて、考え違いをなすっているようだ――そなたとわしとは、同格、同業、そのように頭を下げられては、罰(ばち)が当る...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...現に主人たちの密室から、廊下を隔てた一間に、うない児を抱き寝していた乳母さえ、前後をいかに忘失したとはいえ、当の長崎屋に、この一家に取っては、何ものにも変えがたい一人息子の赤児を渡してしまっている位ではないか!そんなわけで、広海屋は、闇を辿りつつも、まだ、心のどこかで高をくくっていた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...しっかりせい! そなたも広海屋ほどのものの女房――高が...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...へ、へ、へ、なんと、広海屋、こたえたか――胸に、胆に、たましいにこたえたか! ひ、ひ、ひ、へ、へ、へ、――ざまあ見ろ!」一五嘲り、蔑(さげす)み、憎み、呪い、目を剥き出し、歯を現し、片手の指を、獲物(えもの)を掴もうとするけだもののように鉤(かぎ)なりに、曲げ、片手に、浜川平之進の血しおで染んだ短刀を握り締めた、長崎屋、相手に気取られようが、気取られまいが、そんなことは少しもかまわず、今は、大ごえに、ゲラゲラと、不気味な笑いをひびかせるのだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋一家の手に戻してやる気にはなれなかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...お前には、すまないと思うけど、お前の親御の、広海屋に、どうしても、この世で、怨みをかえさねば、死なれぬ身――その広海屋に、苦しい、悲しい想いをさせるには、お前をあずかって置かねばならぬ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海屋が焼けている最中...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...広海子爵は主人の抑損(よくそん)するを気の毒がり「イヤ中川さん...
村井弦斎 「食道楽」
...広海さん、これは私が工風(くふう)したので深さ二寸位なブリキ製のバケツのようなものへグルグル廻る柄をつけて柄の先を長い棒へ通して誰にでも下から天井へ届くようにしたのです...
村井弦斎 「食道楽」
...別に薄切のパンをバターでいためてその上へ焼いたシブレを載せてフレッシバターを鍋で焦(こ)がして上から掛(かけ)たのがこのシブレグレーオーコロトンというものです」広海父子(おやこ)も大原も頬の落ちん心地(ここち)してこの珍味を賞しけるが続いて出(い)ずる魚の料理...
村井弦斎 「食道楽」
...第二百十九下駄(げた)と帽子料理談の長きに広海子爵も閉口しけん「玉江や...
村井弦斎 「食道楽」
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