...」それから数門を過ぎて一広庭に至ると...
芥川龍之介 「鴉片」
...釜の下から上る煙と、釜の中から湧く湯気とが、まだ消え残つてゐる明方の靄と一つになつて、広庭一面、はつきり物も見定められない程、灰色のものが罩(こ)めた中で、赤いのは、烈々と燃え上る釜の下の焔ばかり、眼に見るもの、耳に聞くもの悉く、戦場か火事場へでも行つたやうな騒ぎである...
芥川龍之介 「芋粥」
...直に広庭で芋粥の馳走に...
芥川龍之介 「芋粥」
...坦たる広庭の中央には...
石川啄木 「葬列」
...広庭を一つ隔てた母屋の方では...
泉鏡花 「婦系図」
...旦那が御番での留守を見はからってねて居らっしゃるまくらもとに立って奥様の御守刀で心臓を刺し通したので大変驚き「汝逃すものか」と長刀の鞘をはずして広庭までおって居らっしゃったけれ共前からぬけ道を作って置いて行方知れずになってしまった...
井原西鶴 宮本百合子訳 「元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳)」
...奥なる広庭に戯れゐしが...
巌谷小波 「こがね丸」
...雲龍寺の広庭には...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...広庭の小亭で、二十五歳ばかりの青年がただ一人、ウイスキーを飲んでいました...
豊島与志雄 「碑文」
...経之は池をまわり、広庭につづく、ひとつは塗籠(くら)へ、ひとつは定明の館に通ずる径を行った...
室生犀星 「野に臥す者」
...御火焚きと称して御社の広庭に...
柳田國男 「祭のさまざま」
...草も除(と)らなかったらしい広庭の離々(りり)たる茂りをながめていたのを...
吉川英治 「大岡越前」
...広庭の床几場は、侍小頭の室木斎八と物頭の今津源太夫のふたりが、城兵五十人ばかりで、固めに着き、この部署には、ほとんど、いわゆる毛利加担をひそかに抱く疑いある者は一切近づけなかった...
吉川英治 「黒田如水」
...すぐその先に本丸の堂閣があり、前の広庭に、戦時の油幕が設けてある...
吉川英治 「三国志」
...広庭に幕を張らせ...
吉川英治 「新書太閤記」
...広庭のあなた此方(こなた)を...
吉川英治 「新書太閤記」
...廻廊や広庭には人影もあるいていた...
吉川英治 「親鸞」
...観音院と僧正坊の伽藍(がらん)が広庭を抱いていた...
吉川英治 「源頼朝」
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