...奥の院は幽邃森厳(ゆうすいしんげん)である...
泉鏡花 「遺稿」
...幽邃(ゆうすい)とか...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...夏の晩はどんな幽邃(ゆうすい)な避暑地へ逃れても...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...幽邃(いうすゐ)なる寺院の境内より漏れ聞ゆる僧侶が讀經の聲と梵鐘の響とは古雅なる堂塔の建築と相俟つてこゝに森玄なる宗教藝術の美がつくり出される...
永井荷風 「十年振」
...いつもはそれほどに耳立たない裏田圃(たんぼ)の蛙(かわず)の啼(な)く音(ね)と梢(こずえ)に騒ぐ蝉(せみ)の声とが今日に限って全くこの境内をば寺院らしく幽邃閑雅(ゆうすいかんが)にさせてしまったように思われた...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...麹町日枝神社(こうじまちひえじんじゃ)の山門(さんもん)の甚だ幽邃(ゆうすい)なる理由を知らんには...
永井荷風 「日和下駄」
...雲は萬有を幽邃となし...
長塚節 「草津行」
...垣の隙間(すきま)から広い庭の一部に茂る熊笹(くまざさ)が幽邃(ゆうすい)に見えた...
夏目漱石 「こころ」
...紫陽花(あぢさゐ)のやうな幽邃(いうすゐ)な調子があつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
......
萩原朔太郎 「青猫」
...「乾隅」が暗く幽邃(ゆうすい)な位置を表象し...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...その最も幽邃深玄を極むる者と雖も尚詩形を借りたる論文に外ならず...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...茗渓(めいけい)は幽邃(ゆうすい)の地だった...
長谷川時雨 「田沢稲船」
...幽邃(ゆうすい)をきわめる名園がある...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...環境は一しほ幽邃で仙骨を帯びてゐる許りでなく少しく気味のわるい様相をさへ呈してゐる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...幽邃(ゆうすい)な鬼涙沼(きなだぬま)のほとりに封建の夢を遺している...
牧野信一 「ゼーロン」
...その画はベツクリン流の前派かと見らるゝ如き幽邃な怪奇に満ちて...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...もう少々幽邃(ゆうすい)な深山へ御案内いたしましょうか」と...
吉川英治 「江戸三国志」
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