...怪しげな幻のような心もちがした...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...幻のような幸福を楽んでいた...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...明滅する炎の前に幻のような不思議な姿を描き出す...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...「松か、」夫人は残燈(ありあけ)に消え残る、幻のような姿で、蚊帳の中から女中を呼んだ...
泉鏡花 「悪獣篇」
...そしてその幻のような闇の中の標識は浮きあがるかと見れば直ぐに消え...
大阪圭吉 「白妖」
...幻のような五彩の小さい舞台面を眺めるのである...
太宰治 「惜別」
...まったく夢幻のような気持がしてくるのであった...
橘外男 「ウニデス潮流の彼方」
...夢幻のようなたたずまいを眺めているうちに...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...何といって捕捉する事の出来ない隠微(かすか)な幻のようなものがちょいちょい頭の中で動めいた...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「サレーダイン公爵の罪業」
...そういう夢幻のような映像の中に現われた自分の幼時の姿を現実のこの自分と直接に結びつけて考えることは存外むつかしい...
寺田寅彦 「銀座アルプス」
...そうして人間の意識的生活というものがほんとうに夢か幻のようなものであるように思われて来るのである...
寺田寅彦 「銀座アルプス」
...母が頭から銀の簪(かんざし)をぬいて燈心を掻き立てている姿の幻のようなものを想い出すと同時にあの燈油の濃厚な匂いを聯想するのが常である...
寺田寅彦 「追憶の冬夜」
...そうしてその闇(やみ)の底に何かしら名状のできない動くものの影か幻のようなものを認めるように思う...
寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
...幻のような灰色の鴎(かもめ)が飛んで...
徳田秋声 「仮装人物」
...「あの人形はどんなにか仕合わせだろう!」彼女はその幻のような露店から目を離すことができなかった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...夢幻のような気持である...
火野葦平 「花と龍」
...憑(つ)かれたような、夢幻のような、一週間であった...
火野葦平 「花と龍」
...すべてが灰色の影――かすかな不規則な記憶――あわい快楽と幻のような苦痛とのおぼろげな寄せあつめ――である...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「ウィリアム・ウィルスン」
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