...しかし幸い脳にだけは異状も来ずにいるらしかった...
芥川龍之介 「子供の病気」
...幸いこの画は地震の禍いをも受けずに今なお残っているが...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...もっけの幸いではないか...
江戸川乱歩 「月と手袋」
...しかし、まあ、悪戯(いたずら)をするのが面白いんで、たとえば神様のいらっしゃる境内をも憚(はばか)らず、暗闇を幸いに、男女が密談などしているのを見付けては、知らない間に二人の髷(まげ)をちょん切って置いたりなんかして、脅かしてやりまして、以後そんな不謹慎な事をしないように誡(いまし)めてやりますので」「去年も五人揃って参ったか」「それが旦那、それからがお話でございます...
江見水蔭 「怪異暗闇祭」
...幸い阪急の六甲に大した費用を懸けないでもそのまま学院に利用出来る格安な洋館の売り物が見附かり...
谷崎潤一郎 「細雪」
...今日は幸い、その希望を果さんとして、これから舟を借りて湖面を渡ろうとして、長浜の町から臨湖の渡しをたずねて来たのですが、そこは、勘がいいと言っても盲目のことですから、湖と陸との方角は誤りませんでしたけれども、臨湖の渡しそのものが湖岸のいずれにありやということを、たずねわずろうて、そうして、ついこの湖岸の城跡のところまで来てしまったのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...そのうちに一人の青年が来て私立大学に通う学資を得る為に運転手をし度(た)い、幸い、自分は免許状を持って居ると云う事を申出て来たからその話に乗り込んで中古のシボレー一台を買い込み、営業用に登録し必要の時はこちらが乗ると云う事に約束をきめてかかったが、営業用にかせがせれば車体が甚(はなは)だしく痛むと云う事を頭に置かなかったものだから修繕費修繕費に追われてしまう、遂には腹が立って捨値に売り飛ばしてしまった...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...これが幸い自分の番に当っているので...
夏目漱石 「坑夫」
...幸いに舌という検察官があって...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...幸い人間は馬鹿じゃないようだから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...幸いまだ息だけは通っております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...幸い死者はいませんでしたが...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...幸いその都度(つど)...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...幸いにして豊富な資料はある...
柳田国男 「木綿以前の事」
...幸いにこの比較研究法は...
柳田国男 「予が出版事業」
...屍体の顔がメチャメチャになっとるのを幸いに...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
...幸い雨のない日が続いた...
吉川英治 「三国志」
...幸い、一時家に帰されて、母上のお顔を見たので、拙者も、死んでたまるかと、心を持ち直して、一策を案じました...
吉川英治 「新・水滸伝」
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