...「えッ、御腹痛、それには幸い、大森で求めた和中散(わちゅうさん)を、一服召上ると、立地(たちどころ)に本腹(ほんぷく)致しまする」と宗匠、心配した...
江見水蔭 「悪因縁の怨」
...漱石氏もまたはじめの間はその要望を寧ろ幸いとして強いて創作の機会を見出すようにつとめつつあったらしかった...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...ここで遇(あ)ったのを幸いに...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...まあ幸い、あなたが警察官憲とご関係がないから私としてもさほど構いはしませんが、このような家庭の災難など外へ言いふらされるのは愉快ではありません...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 加藤朝鳥訳 「同一事件」
...脚部の傷は二か所とも幸いに骨を避(よ)けて...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...ただ幸いにも、枕に頭をつけるが早いか、重い眠りに圧倒されて、自分の苦労を忘れるのだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...当日幸いに傷を免かれた宇佐美という者で...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...ともかくも夜の明けぬうちに何とかせねば――幸い...
中里介山 「大菩薩峠」
...幸いに明治の今日(こんにち)に生れたから...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...幸い何事もございませんでした」「お前さんは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...幸い誰も見る者はありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...幸い身を以て遁(のが)れ得たら太(ひど)く驚いて何処かへ頭痛が散ってしまうのである(一九一五年版ガスター著『羅馬尼(ルーマニア)禽獣譚』)...
南方熊楠 「十二支考」
...手がかりは幸いにまだ残っている...
柳田国男 「海上の道」
...もし幸いにして多くの婦人方に...
柳田国男 「木綿以前の事」
...思うに幸いにしてその血は濃く流れているにしても...
柳田国男 「雪国の春」
...私の円形ならざる歯車の一つにならば幸いだ...
横光利一 「夜の靴」
...幸いにこれほどで何よりでしたよ...
横光利一 「旅愁」
...下で夢中なところを幸いに...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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