...その平淡ななかに言い知れぬ深いところを湛(たた)えて我々に接せられたことなどに対し...
石原純 「左千夫先生への追憶」
...一月号の『思ひ出』の作も極めて平淡な抒情(じょじょう)の内に深い味いのある歌であったが...
伊藤左千夫 「歌の潤い」
...平淡な叙述の内に一道の寂しい情調が漲(みなぎ)って居る...
伊藤左千夫 「歌の潤い」
...其文章の例に似ず平淡なのと...
田山録弥 「尾崎紅葉とその作品」
...あの平淡なチエホフの劇などでさへさうだ...
田山録弥 「社会劇と印象派」
...細かい平淡な境地であるのに引かへて...
田山録弥 「明治文学の概観」
...私は「苺(いちご)」の静物の平淡な味を好む...
寺田寅彦 「昭和二年の二科会と美術院」
...平淡なるほど自分の立場の堅実を...
中里介山 「大菩薩峠」
...あるものは平淡なる写生文に事件の発展がないのを見て文学でないと云う...
夏目漱石 「作物の批評」
...平淡なうちにも一歩も仮借(かしゃく)せぬ厳しさがありました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...平淡なうちにも一歩も假借(かしやく)せぬ嚴しさがありました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...はなやかな時代も過ぎて平淡な心境におられるあの院に三の宮の良人(おっと)となっていただくことは最も安心なことだと私は認めている...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...薫(かおる)は女王(にょおう)のいずれもが劣らぬ妍麗(けんれい)さの備わったその一人と平淡な話ばかりしたままで別れて行くのを飽き足らぬここちもしたのであった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
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