...平板なる記実にもし幾分たりとも故人の人物を想到せしむるを得たならこの一篇の目的は達せられている...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...案に相違して極めて平板な不徹底な家常茶飯的葛藤しか描かれていなかったのは畢竟(ひっきょう)作者の根本の芸術的興味が去ってしまったからであろう...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...細い首筋をつきだしゆっくり平板な顔を廻してみせる動作...
田中英光 「さようなら」
...要するにこれら映画の作者がすぐれた芸術家であるという平板な事実を証明するものである...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...しかし此の平板な野の森陰の小屋に日當りのいゝ縁側なりヴェランダがあつて其處に一年の中の選ばれた數日を過すのはそんなに惡くはなささうに思はれた...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...普通ブルジョア社会科学者や平板な常識が想像するように...
戸坂潤 「科学論」
...平板な常識のもつ抵抗力は要するに消極的なものに他ならない...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...平板なものを強力なものにまで高める筈であったこの積極的新思想は...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...平板なる如くにして表裏あり是れ其の伊藤侯と合ひ易き所以なりと然れども余の彼れに見る所は別に是れあり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...馬鹿げた崇厳さと平板な和声とをもって重々しく進んでいった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...平板な敗者の安心感だけで...
林芙美子 「瀑布」
...何處といつてとりたてて云ふほどもない平板な顏に...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...平板な河口の水面と...
本庄陸男 「石狩川」
...他の新聞の穩健平板な文化欄とはちがつてゐた事は...
正宗白鳥 「回想」
...かくして無限に平板な明け暮れは...
三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...今では平板なる低地のようにも解せられているけれども...
柳田國男 「地名の研究」
...それから全体の場面のやや平板なことであるが...
柳田国男 「木綿以前の事」
...弱よわしく平板なひびきを持っていた...
山本周五郎 「さぶ」
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