...そしてそこに、従来の平安な、半獣的自由の生活が失われて、いわゆる文明が生れかけて来た...
大杉栄 「征服の事実」
...この時代は決して平安な時期とは言えない...
外村繁 「澪標」
...より平安な前途と遠くに勝利とを瞥見(べっけん)させる右の報知が...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...雀は最も平安な場所を本能的に選んで...
豊島与志雄 「文学精神は言う」
...久光は、こうした最後の時にまでなって、猶、お由羅にいいよう、斉興にいいよう――己の子の哲丸がいるのに、それを犠牲にして忠義を立てよという斉彬の心に対して――斉彬に、謝するよりも――お由羅の陰謀を、悉く知っていて、猶、父のために、島津のために、平安なれと、祈っている斉彬の心へ、泣いて謝するよりも、こうした斉彬の心事を、何一つ察しないで、事ごとに斉彬を苦しめてきた父母に対し、将曹等に対し、押えきれぬ激怒が湧き上ってきた...
直木三十五 「南国太平記」
...平安な一生を送った...
永井隆 「この子を残して」
...平安な時あらゆる人に絶えず附け纏(まと)はる自己広告の衒気(げんき)は殆(ほとん)ど意識に上(のぼ)る権威を失つてゐる...
夏目漱石 「艇長の遺書と中佐の詩」
...この高尚なる心身に応じて平安なるものを平安と名づくるなり...
福沢諭吉 「教育の目的」
...ああ此の青年が何んなに私の平安な生活を破壊して呉れたか? それは後に皆明白となるであろう...
松永延造 「職工と微笑」
...七難なきもの平安なものから...
柳宗悦 「民藝四十年」
...または児子(じし)の平安なる生育のみに...
柳田国男 「海上の道」
...平安な温かい家庭ができるに違いない...
山本周五郎 「いさましい話」
...生きてゆくには辛抱づよい努力と、忍耐が必要だ、しかもその道は嶮しく遠い、思わぬ災厄や病苦にもみまわれるであろう、……私はそういうものからおまえを護りたかった、風雪に当てたくない、苦しみや悲しみを味あわせたくない、平安な家庭と、温たかく満ち足りた暮しを与えたい、これがなによりの願いだった」孝之助はちょっと言葉を切った...
山本周五郎 「竹柏記」
...御臨終は満ち潮のしぜんと退(ひ)いてゆくような御平安なものだったという...
山本周五郎 「日本婦道記」
...静かで平安な生活にあこがれている...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...その平安な期間が十年も続いて来た...
横光利一 「無常の風」
...通りの雪に射すランプの色が温い平安な感じだった...
横光利一 「旅愁」
...決して平安な浪路ではないであろう...
吉川英治 「宮本武蔵」
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