...五分位に延びた漆黒の鬚髯が殆んど其平たい顏の全面を埋めて...
石川啄木 「雲は天才である」
...美味い物を食ふと見えて平たい顔の血色がよい...
石川啄木 「漂泊」
...そんな平たい物ではない...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...箱の下に先のそつた平たい滑り木が二本ついてゐて...
辻村もと子 「早春箋」
...何か平たい湿っぽい平面にいて...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...平たい石碑を立てたものです...
豊島与志雄 「霊感」
...平たい延べ金の下飾りがついてるヴェニス製の大燭台(だいしょくだい)が一つあって...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...彼には世間が平たい複雑な色分(いろわけ)の如くに見えた...
夏目漱石 「それから」
...ほとんど平たい幅をもっていない...
夏目漱石 「明暗」
...停車場の前に並んでゐる小さい低い赤と青で塗つた平たい馬車と宿屋の前に吊してある無數の雜色の手拭みたいな講中のビラがまづ目についた...
野上豐一郎 「湖水めぐり」
...岩は転がってゆきながら、「ああ、しまった、ああ、しまったぞッ!」とかなしくなりましたが、平たいところへ、どおんとからだを落ちつけるまで、自分の重たいからだをどうすることもできなかったのです...
林芙美子 「ふしぎな岩」
...眼鏡を掛けた妹の平たい顏を憐憫(みじめ)な思ひをして見入つた...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...ジョバンニはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函(はこ)をとりだして向うの電燈のたくさんついた...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...薄平たい風呂敷包みを持って立ち上った...
宮本百合子 「或日」
...峻厳な茶色でくまどられた鷲鼻の隠者の剃った丸い頭の輪廓とその後にかかっている円光のやや薄平たい線とが...
宮本百合子 「伊太利亜の古陶」
...はなはだしきは一鉢の平たい土器に...
柳田国男 「雪国の春」
...ギスギスした発育不全の中学生みたいな固く平たい胸...
山川方夫 「歪んだ窓」
...そう思い詰め思い詰め急斜面の地獄を匐(は)い登って来た彼は……しかし……平たい...
夢野久作 「木魂」
便利!手書き漢字入力検索