...庭の片隅に常磐木が四五本こんもりと立つてゐる...
薄田泣菫 「独楽園」
...野草を摘み常磐木(ときわぎ)をはこんで森のことを思いだすのが好きな村びとたちのところに...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...掃いても掃いても尽きない常磐木の落葉――...
田山録弥 「大阪で」
...美しい常磐木(ときわぎ)の緑と...
寺田寅彦 「先生への通信」
...井(ゐど)のほとりの常磐木(ときはぎ)や...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...後(うしろ)の黒い常磐木(ときわぎ)の間からは四阿屋(あずまや)の藁(わら)屋根と花畠(はなばたけ)に枯れ死した秋草の黄色(きばみ)が際立(きわだ)って見えます...
永井荷風 「監獄署の裏」
...待合の富士見町にあるもの菊の家、梅月、寿鶴(後に相模家)、常磐木、寿々村の如き今なほ僕の記憶するところなり...
永井荷風 「桑中喜語」
...常磐木の茂りの並び立つ道の彼方からの声がきこえる...
永井壮吉 「冬日の窓」
...小春の筑波山は常磐木の部分を除いては赭く焦げたやうである...
長塚節 「寫生斷片」
...黒ずんだ常磐木(ときわぎ)の中に...
夏目漱石 「虞美人草」
...そうして暑い日を遮(さえぎ)る高い常磐木(ときわぎ)を見ていた...
夏目漱石 「行人」
...松は千代も変らぬ常磐木でして新春にまずその色を愛(めで)たものです...
牧野富太郎 「植物記」
...松は四季を通じていつも緑の色を湛えた常磐木で...
牧野富太郎 「植物記」
...朝夕の風は相当軒端に強く吹いて折々根太(ねだ)をも軋ますばかりだがつつましい屋のむねにはいつからか常磐木(ときわぎ)色の小旗が一つ立っていて荒っぽく揉まれながらも何やら嬉々と季節の太陽にへんぽんたるは何故だろう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...常磐木ならでは野に青い物は無い...
横瀬夜雨 「春」
...だから古典平家の序章にはいるまでに「新・平家物語」では「ちげぐさの巻」「九重の巻」「ほげんの巻」「六波羅行幸の巻」「常磐木の巻」と古典にない部類が加えられ「石船の巻」や「みちのくの巻」以外に...
吉川英治 「随筆 新平家」
...そして森なかの常磐木にからんで枝垂れてゐる通蔓草(あけび)の花がいま盛りである...
若山牧水 「家のめぐり」
...常磐木を分けてゆくのであるが...
若山牧水 「樹木とその葉」
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