...僕は最初の一日を、今日から自分のものになった椅子の上にのびのび腰を下し、さて何を研究したものかと考え始めたが、一向に纏(まとま)りはつかず、考えれば考えるほど、今日の帰り路は、どう取って、定刻までに信濃町まで出たものかと、そればかりが気になりだした...
海野十三 「階段」
...その帰り路、竹藪(たけやぶ)のそばを通っているとね――あら、あれなんでしょう、ねえ東助さん...
海野十三 「ふしぎ国探検」
...もう帰り路なんですよ...
谷崎潤一郎 「細雪」
...横川(よかわ)の僧正の許へ使いにやられた帰り路に...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...自分は絵馬堂(えまどう)に掲(かか)げてある子別れの場の押絵(おしえ)の絵馬や、雀右衛門(じゃくえもん)か誰かの似顔絵の額を眺(なが)めたりして、わずかに慰(なぐさ)められて森を出たが、その帰り路に、ところどころの百姓家(ひゃくしょうや)の障子の蔭(かげ)から、今もとんからり、とんからりと機(はた)を織る音が洩(も)れて来るのを、この上もなくなつかしく聞いた...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...帰り路が一所なので...
田山録弥 「田舎からの手紙」
...」春次は銀子と風呂(ふろ)からの帰り路(みち)...
徳田秋声 「縮図」
...帰り路には牛と鵞鳥が待ちかまへてるし...
中勘助 「銀の匙」
...また遠足の帰り路であったか...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...帰り路にちょっと寄って...
夏目漱石 「草枕」
...帰り路にはいつもつまらない気がしてならなかった...
夏目漱石 「門」
...お湯の帰り路地の中で殺されたんですよ」「お萩が?」「聞いて下さい...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...海峡の船に又あり五月より六月となり帰り路となり青函連絡船の歌で棄て難い趣きはあるが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...帰り路、考え込んで、気分がすぐれなかった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...それはさうとしても水車小屋の二階にランプが点つた様子を帰り路の彼等が見あげたならば...
牧野信一 「沼辺より」
...その帰り路にお廻りになればよろしい...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...そよとも波のない暗い海を帰り路(みち)についている……「オヤ」斧四郎に...
吉川英治 「松のや露八」
...帰り路(みち)になっていたせいもあり...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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