...広い大川の水面に蜆(しじみ)蝶の翼のような帆影が群っているのを眺めると...
芥川龍之介 「妖婆」
...來るか來るかと上沖見れば矢島經島影ばかり面の憎いは澤崎鼻だ見たい帆影をはやう隱すこれらは小木全盛時代の遺物です...
江南文三 「相川おけさ」
...正蟀、帆影郎、沼蘋(しょうひん)女等来る...
高浜虚子 「五百句」
...掠めて通つて行く帆影もなかつた...
田山録弥 「船路」
...海上遠くで日光にきらきらと光っている帆影ほどに白かった...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...空の雲にも遠い帆影にも...
豊島与志雄 「女人禁制」
...辻番所立てる坂の上より下町(したまち)の人家と芝浦(しばうら)の帆影(はんえい)までを見晴す大空には忽然(こつぜん)大きなる虹斜(ななめ)に勇ましく現はれ出(いで)たる処なり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...悲壮なる帆影(はんえい)...
永井荷風 「海洋の旅」
...正に君らの陸地から立去らうとする帆影にまで...
萩原朔太郎 「宿命」
...そんなら鰹船のほうではチラとでもその船の帆影を見かけていなければならぬはず...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...救いにきたラルギュスの帆影を見て布を振っているところを...
久生十蘭 「海難記」
...遠い水平線に帆影に似たものが漂うように動いていた...
久生十蘭 「海難記」
...潮路の果てに帆影を没し去った...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...「常に帆影に随ひて去り遠く長天の勢ひに接す――」斯う高らかに合唱すると...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...一身軽舟ト為ル落日西山ノ際常ニ帆影ニ随ヒテ去リ遠ク長天ノ勢ヒニ接ス...
牧野信一 「手紙」
...そのうへ、一つの帆影も、一隻の汽船の煙も視線の内にはなかつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...松原の洲先(すさき)から西へゆく帆影を見まもりながら...
吉川英治 「宮本武蔵」
...そこから沖へ出て間もなくルイスは海上に帆影を認めて驚いたのである...
和辻哲郎 「鎖国」
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