...已むを得ず旧地(もとぢ)の新橋駅から...
江見水蔭 「硯友社と文士劇」
...さらばとばかり、腹には涙、劍は武士が浮世の役目、已むを得ず、首うちおとしけるが、つく/″\無常をさとりて、國へもかへらず、そのまゝ出家して、名を浮世と改め、懇に弘次の菩提を弔へりとぞ...
大町桂月 「國府臺」
...松田左京進が已むを得ず赤子の腕をねぢて...
大町桂月 「國府臺」
...二圓餘りし金、四十錢を二人の女に祝儀にやりたれば、餘す所は、わづかに一圓六十錢、ぐず/\して居れば、又一人來さうな氣色なれば、已むを得ず、切り上げて眠る...
大町桂月 「春の筑波山」
...已むを得ず、片足だけは、一本齒にて、のそ/\たどりゆく...
大町桂月 「風船玉」
...已むを得ず言ひなりになるといふやうな樣子であつた...
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 佐藤緑葉訳 「醫師と旅行鞄の話」
...已むを得ず女中の竹がするやうに膳の上の茶碗や皿やを片寄せて其一隅に飯櫃を載せて段梯子を上つて其を二階の一番へ持つて行つた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...已むを得ず寝間着の袖で霜を拭い落した...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...已むを得ず土堤(どて)の上を通ろうとすれば...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...故三條公乃ち已むを得ずして首相となれり是れ彼が巧みに隱れたる所以にして...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...一切の政党を非認して党派の外に超然たるも亦已むを得ずと雖も...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...魏略は女王國より帶方郡に至る距離を萬二千餘里としたるも、范曄は漢時未だ有らざる郡より起算するを得ざれば、已むを得ず、漢時已に有りたる樂浪郡の徼より起算せしなり...
内藤湖南 「卑彌呼考」
...已むを得ず自働車にて帰る...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...私は已むを得ず他人(ひと)と分け合はねばならなかつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...已むを得ずんば斷片のまま是を公にせんかと欲せし事もありしごとし...
堀辰雄 「リルケ年譜」
...何しても判らぬから已むを得ず或るバラモンの物識に逢うて之を問ふた...
松本文三郎 「世界に於ける印度」
...此等は已むを得ず乞食にされるわけですが...
三田村鳶魚 「物貰ひの話」
...已むを得ず帰り来りし由に候...
アルツウル・シユニツツレル Arthur Schnitzler 森林太郎訳 「アンドレアス・タアマイエルが遺書」
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