...已むを得ずペンを執る...
海野十三(佐野昌一) 「寺田先生と僕」
...今日は、歩くがいやなりとて、保田より汽船に乘らむとせしが、二番船出でずといふに、已むを得ず、われらと共に歩きぬ...
大町桂月 「房州の一夏」
...殊にお霜婆さんが二日許りして歸つた後は已むを得ず襁褓の洗濯をもした...
高濱虚子 「續俳諧師」
...「えゝ三だけの望はあります」と醫者は已むを得ず答へた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...欧州戦争の為に、出征、負傷、財産の減少、企業の中絶、凡ての計画が齟齬(そご)してからは、已むを得ず、学生町で、下宿業などを始めるようになったが彼は到底商売人ではなかった...
辰野隆 「二人のセルヴィヤ人」
...この成果の手続き又は過程の叙述を已むを得ず犠牲に供する仕方を云う...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...体系組織上の必要に迫られて已むを得ず...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...已むを得ず機関誌生産の為の融通資金より返済した為に...
戸坂潤 「〔付〕唯物論研究に就て(戸坂潤手記)」
...彼等は已むを得ずして當局者以外の勢力家に協議を求むることありといふ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...一切の政党を非認して党派の外に超然たるも亦已むを得ずと雖も...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...已むを得ず、竊かにドイツ國を脱してアメリカに渡り、全きを得た...
長岡半太郎 「アインシュタイン博士のこと」
...小生は已むを得ず法律による防衛に訴える他之無きことを前以って御通告申しあぐるを小生の義務と存ずる次第に御座候...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「鼻」
...私は已むを得ず他人(ひと)と分け合はねばならなかつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...何しても判らぬから已むを得ず或るバラモンの物識に逢うて之を問ふた...
松本文三郎 「世界に於ける印度」
...已むを得ず友人に貸して居た金を五六圓集めて...
三島霜川 「自傳」
...已むを得ず十四の年に朝鮮へ行くことになったが...
宮城道雄 「私の若い頃」
...已むを得ず帰り来りし由に候...
アルツウル・シユニツツレル Arthur Schnitzler 森林太郎訳 「アンドレアス・タアマイエルが遺書」
...國人は已むを得ずして仲の弟を立てたり...
箭内亙訳註 「國譯史記列傳」
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