...これから冗談はあらかじめ断ってからいうことにしましょう」「まったくあなたは己惚れが強いわねえ」といいきらないうちに奥さんは口許に袖口を持っていって漣(さざなみ)のように笑った……眼許にはすぎるほどの好意らしいものを見せながら...
有島武郎 「星座」
...乃公だって倅(せがれ)があればもっと偉くなっているぞ! 城内に幾度も行った彼は自然己惚れが強くなっていたが...
魯迅 井上紅梅訳 「阿Q正伝」
...いくら己惚れて見た所が...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...そんなに己惚れるものではない...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...――2.彼はおそろしく己惚れてゐる...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...だがその宝を晴れの舞台へ出したところはどんなだったい? 虚栄心と己惚れの集団! 君は巧(うま)いことを云ったが...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...最早(もは)や己惚れの存する余地がなくなってしまった...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...「相手はたかが猫だから」と云ふ己惚れに引き擦られて...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...己惚れるだけでも癪に触る...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...己惚れと迂濶とを扱き雑ぜたる報告を選挙区民に為すの外には...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...その寸法を己惚れきっている...
中里介山 「大菩薩峠」
...己惚れと云うものが...
林芙美子 「新版 放浪記」
...現代人は己惚れた奴隷である...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...役者は己惚れの強いものとは定ってゐるが...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...主に鏡の前で生意気なポーズをつくつて己惚れてゐた...
牧野信一 「好色夢」
...自ら考えるところをもってその悟性の広大なることとその見解の徹底的なることの徴標なりとして己惚れているのであるから...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...とにかく眼で視(み)数で測り得る体格上でさえ人間の己惚れから観察に錯誤ある事ミヴワートの説のごとし...
南方熊楠 「十二支考」
...今はそれさえ達せられるだろう幾らかの己惚れさえあったが...
横光利一 「旅愁」
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