...部下を救うために己が身を殺した老大尉もいた...
梅崎春生 「日の果て」
...非常な捕物です」改札口を入って、少し歩くと、男は、マスク越しに、甚だ不明瞭な口調で、自己紹介をした...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...かへつて實際に無限に自己のうちに有し...
デカルト Renati Des-Cartes 三木清訳 「省察」
...己(おれ)に委して我慢をして……いいかえ」箪笥に倚(よ)りかかって...
徳田秋声 「あらくれ」
...悉く之れを自己の模型に鑄合せしむるを謂ふ顧ふに進歩自由の兩派は從來政敵として氷炭相容れざりしものなり特に大隈伯は最も自由派の爲めに忌まれて...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...そこまでに自己の感想を暴露(ばくろ)してしまふわけには行(ゆ)かないので...
永井荷風 「すみだ川」
...己(おの)れも寝について...
中里介山 「大菩薩峠」
...かかる矛盾的対立から矛盾的自己同一的に新な世界が生れる...
西田幾多郎 「絶対矛盾的自己同一」
...多と一との矛盾的自己同一的過程として行為的直観的でなければならない...
西田幾多郎 「絶対矛盾的自己同一」
...己(おの)れの職業については一人前の仕事をしたと称するも...
新渡戸稲造 「自警録」
...ただちに自己の胸臆(きょうおく)を(し)くもの...
正岡子規 「曙覧の歌」
...しかるにもしそれとの比較において私の缺乏を知る如き完全な實在の觀念が私のうちにあるのでなければ、私は自己が疑ひ、從つて自己が缺けてゐることを知り得る理由はない、と彼は論じてゐる...
三木清 「認識論」
...己は何も驚きはしない...
コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳 「樺太脱獄記」
...己は旨い所で、お前方の獅子の皮でぬくもって、好い心持になっている...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...己達がやけになって...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...けちな利己主義者だったともいえる...
山本周五郎 「季節のない街」
...光秀は、五十五年の生涯のうちで今ほど、自己の聡明を、ふかく恃(たの)み、またかたく信じたときはなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...芸術の創作は要するにこの自己表現の特殊の場合に過ぎない...
和辻哲郎 「創作の心理について」
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