...ポケットから巧緻(こうち)な浮き彫りを施した金時計を取り出して時間を読んだりした...
有島武郎 「或る女」
...彼らの内部生命の陰険で巧緻な組織を計量することはじつにむずかしい...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...ただ繊細な巧緻(こうち)なところがあるのを多少の変化と認めなければなりますまい...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...巧緻というような点であります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...同じパゴダでありながらあの荘重巧緻な五重塔を創造した...
高見順 「仏像とパゴダ」
...眼をむきだしたりして居る巧緻な人形の表情を覗き込むようにした...
谷崎潤一郎 「少年」
...浮世絵は遂(つい)に寛政時代の繊巧緻密(ちみつ)の極点に到達せるなり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...水晶の針を集めたような実物の結晶の巧緻(こうち)さは...
中谷宇吉郎 「雪」
...驚くべき巧緻(こうち)な背景――伴奏部を与えることに成功した...
野村胡堂 「楽聖物語」
...その巧緻精妙な技巧の末を競ったのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...これは精密巧緻(こうち)な方法で実現された新地獄に違いなく...
原民喜 「夏の花」
...いづれも練達巧緻の技量を有しながら兎角に志を得ない轗軻不遇の人々許り...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...巧緻を極めた繪本を閉ぢた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...思うてもひとびとの心を厳粛に表情づける奥の奥なる自然の巧緻があった...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...空を切つて大きく張り渡つた蜘蛛の巣の巧緻な形に驚いたり...
横光利一 「榛名」
...また危さに近づくように山査子のその巧緻な花を...
横光利一 「旅愁」
...巧緻な樹木の繁りを見せて矢代は倦きなかった...
横光利一 「旅愁」
...土佐派の巧緻(こうち)や伝彩の華麗もない...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索